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発行元:NPO法人日本エニアグラム学会   2006年2月12日 vol.92

エ二アグラム《自分探しの旅》
〜〜自己成長とコミュニケーションのための人間学〜〜

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希望はあるけど押し寄せてくる現実。今週あなたの周りでは何が起り
ましたか。今回は、父親を尊敬する学生たちとの交流、遠方に住む親
と明るく向き合うけど、せつない話、の二つの日記を送ります。

いざとなれば大胆に行動する”個性的な資質”をもつ人たちの優しさ
をお受けとりください。

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■目次■
● エニアグラム日記 タイプ4「最後の授業」 ●
●              「九州介護日記」 ●

★特別ワークショップのご案内
「仕事力・人間力の向上のヒント」★

○ 編集後記                       ○
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「最後の授業」

★2月2日(木)★
だれも椅子から立たない。授業の終了をつたえる鐘はなったのに、私が片
付けだしているのに。「これで全部終わりました。ありがとう、みんなと一
緒にすすめたどの時間も、感動を沢山もらいました」といってあいさつを送
る。かれらは、まだ黙ってこちらを見ている。「写真とろうよ」朱さんがカ
メラを持ってきていた。「そうだ、写真とろう」と、動きだした。

隣の教室からシャッターを押してくれる人が「俺は、親切な人だよ」といっ
てふざけ、みんなを並ばせる。のぞいている隣のクラスの人に「おいで、み
んな」と呼ぶと、笑顔いっぱいに走ってきたのは男子学生だ。かれがそっと
いう。「ぼくが、日本エニアグラム学会で勉強するようになれば、いつか、
どこかで会えますね」。
うれしいことをいう。かれらは、いつも希望をつたえて元気にしてくれる。

最後の授業の課題として「身近で、良い生き方をしている人」について書
かせた。何人かが「父親」のことを書いた。学生の父親は50代から、60
歳過ぎである。「家庭をちゃんと運営し、家族を守る責任を、仕事も大変な
のに両立させている。ぼくら兄弟を見守ってきた。かっこいい」と記す。な
かには「つらいこともあるだろうが、口にしない」姿も見ている。読みなが
ら、泣けてきそうになる。
書く力もついた。「考えず、立ち止まらず、沸き起こるものをとらえて」と
いっている間に、何人かの腕が、確実にあがっていた。

★2月3日(金)★
試験の採点をする。試験監督は担任外の先生に立ち会ってもらったものだ。
書かれた文章を読んでいると、左胸の心臓のあたりで、じわりと温かいもの
がわき起る。こんなことが記してある。「謙虚というものをもつと、自分の
欲求が他人へ向かう。たとえば、父の喜んだ顔を見ると自分はとても嬉しく
なる。だから、父の誕生日に父のためにプレゼントを買おうとなる。欲求が、
直接自分へ向かうのでなく誰かを介して自分に向かう。こうであったら、理
想的だなと思う」。

夏のころだったか、試験用紙の余白にこんなメモがあった。「今日で19
歳になりました。頑張ります」。今回は「石田衣良を読んでいる」バスケッ
トをしている男子だ。「素敵な授業をありがとうございました」というのも
あった。
これらは教師へのラブレターだ。初めは、試験用紙にこんなことを書くな
んてと思ったが、いまは違う。専門学校の学生たちは、このコミュニケーショ
ンで、自己をささえることもある。

夕方、校舎のベランダから「先生、さよなら。1年2組のAですよ」と春
に手をふった女の子もいた。こちらから「来週、また」と手をあげた。記憶
のなかに「誰にとってもアイデンティファイ、特定されることが重要だから
ねえ」と主治医のN先生の口からでた言葉がある。先生の患者や同僚への思
いが、私にもつながってくる。形ではない、あなたを忘れません、あなたが
大切という気持ちが、相手にとどくための思いやりが、今もとどいてくる。

★2月9日(木)★
学科長たちとランチをとった。そのとき「今年の一年生は、人の悪口をい
わない、あの先生は嫌いだということもない。人間学の成果でしょう」とい
われて、素直にうれしいと思った。また、胸の中にじんわりとしたものが浮
かんでとどまる。多分、だれにも性格タイプの違いがあると知り、幼児期に
親とどう過ごしたかといったことをふりかえり、自分を肯定したからだろう。

教室では、あなたも祝福されて産まれて来たとつたえた。聞いた瞬間かれ
らの眼が動いた。あの時の光を、私は忘れないだろう。それから、かれらと
の距離が縮まった。反抗する人間の心の底にある真実を考えあった。うわべ
の衣をはいでいくと「愛されたい」が残る。
心をたぐっていき、そこまで正直になれると、発見の喜びも見えてきて、
独特の考え方の道を見つけていくようだ。みんな、だれもが素敵だったよ。
元気でね。
(ふつうじん)

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「九州介護日記」

★2月3日(金)★
昨日までにどたばたと仕事を済ませ、始発ののぞみで九州へ。2週間前、
母が脳出血で倒れ父の認知症が一気に進んで、一人息子の私が東京〜小倉を
介護のために往復することとなった。6枚綴り12万1200円ナリの「のぞみ回
数券」を使うことになろうとは、今年の正月には夢にも思わなかった。

10時41分小倉着。母を病院に見舞い、その後、ケアマネージャーのEさん
と今後の介護について打ち合わせる。父は自宅で熱を出して寝込んでいる。
急激に冷えて、夜、雪になる。北九州は日本海性の気候で冬はまとまった雪
が降ることが少なくない。

★2月4日(土)★
父の補聴器は修理が必要だ。昨晩もずっと大音量でラジオをかけながら寝
ていた(笑)。ほとんど聞こえていないと思うのだが、それでも音がないと
寂しいのだろうか。熱は平熱に戻る。昨日熱を出したこと自体を忘れていた。

30分前のことを憶えていないのだから無理はないが、薬を飲んだのを忘れ
るのでまた飲んでしまう危険性がある。私が管理して薬を渡す。ヘルパーさ
んに来てもらっている間に、タクシーを飛ばして補聴器の修理に行く。

午後、母の病院。帰宅して手続きに必要な書類をさがしていたら、母の引
き出しにぼろぼろになった結婚前の父からの恋文(昭和25年!)が大切に取っ
てあって、ちょっとほろっとする。「君に読む物語」という映画を思い出し
た。

4時過ぎ父が「ご飯を食べよう」と言う。「ちょっと早いんだけどなぁ」
と思ったが、父は私が買ってきたうなぎのセイロ蒸しをおいしそうに頬張っ
ている。飼い犬のリュウは、ドッグフードやパンには見向きもしないのに、
うなぎならぺろりと平らげる。男所帯で、一番上等なものを食べているのは
飼い犬だ。

★2月5日(日)★
朝、父がコーヒーを入れてくれる。一度入れたのを忘れて2度もドリップ
してくれる(笑)。2人でゆっくりと話す。何回も何回も何回も話したのだ
が、母が退院しても普通の生活を送ることは無理であること、歩行にもお手
洗いにも介護が必要なこと、母自身は施設に入るのを希望していることを伝
える。父は「お母さんを大切にしてやらなきゃな」と、2人で介護付き有料
老人ホームに入所することを賛成してくれる。また、忘れるのだろうが。
せつない。

★2月6日(月)★
ちょっと出かけている隙に父がいなくなる。タクシー会社に電話をかけて、
行き先をつきとめる。家の前の坂道が雪で滑るので、転んだら大変と思い迎
えに行く。私がお願いしたタクシーの運転手さんは認知症の母親をかかえな
がら、末期ガンの奥さんの看護をしていることを知る。

皆、大変なことを持ちながら日々の生活を送っているのだ。自分だけをド
ラマチックに考えていたことをちょっと反省する。父が私の顔を見て「なん
だ、東京から帰ってきたのか」(笑)。

★2月7日(火)★
母が倒れてから、自分にこんな行動力があったのかと思うほど次から次に
動いている。タイプ4は怠惰だ、という思い込み(言い訳)が効かなくなっ
たからか。つい先日までは介護保険もケアマネージャーもヘルパーも、実感
のない言葉だけの存在だった。人間は誰も父と母から生まれたのだから、そ
して誰もが老い死んでいく以上、介護の機会が巡ってくるのは当然だ。頭で
はわかっていたが、見ないふりをしていた現実を突きつけられている。

ヘルパーさんと叔母に後を託し、小倉発17時40分ののぞみに乗車。品川着
22時22分。11時過ぎ帰宅。私の顔を見て家内が「大人になったね」と笑う。
そうでしょうとも(笑)。日付が変わるころにベッドにもぐりこむ。
(ちゃんぽん)

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★特別ワーク エニアグラム・ビジネスセミナー★
エニアグラムとコーチングで気づく
「仕事力・人間力の向上のヒント part2」

テーマ「部下への効果的な関わり方」
コーチングの考え方、コーチングのスキル、
エニアグラムからみた各タイプへの効果的な関わり方 他
* part2 となりますが、前回参加でない方も参加できます。

日 時:2006年3月5日(日) 10:00〜17:00
会 場:国立オリンピック記念青少年総合センター

詳細は、http://www.enneagram.ne.jp/ まで

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○編集後記○
先週、まぐまぐにこのメルマガの広告を出しました。

今回から、読んでくださっている方、ありがとうございます。

毎週日曜に配信しています。
タイプごとに日常を書いた日記です。同じようなことが起こっても、
タイプによって感じ方は違うものです。

今回から、メルマガのはじめの案内の文章を毎回変えてみることにし
ました。

なお、最終週の日曜には、ワークショップのスケジュールとともに、
連載企画を掲載中です。現在の連載は、「あなたのそこが好き!・・・
タイプ○」です。

これからもよろしくお願いいたします。

各タイプの特徴は http://www.enneagram.ne.jp/index.htmへ
感想をお待ちしています。npo_jea@yahoo.co.jp まで。
(本永)
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このメールマガジンは『まぐまぐ!』
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