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発行元:NPO法人日本エニアグラム学会   2014年11月16日 vol.433
エ二アグラム《自分探しの旅》
~~自己成長とコミュニケーションのための人間学~~

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エニアグラム日記は、今回が最終回です。

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■目次■
●エニアグラム日記 タイプ8「いつも元気です!」●
●         タイプ8「よー坊の成長日記」●
○編集後記               ○

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「いつも元気です!」

★11月6日(木)★
うちの職場には今、現場から来ている職員が4人いる。現場の作業をして
いるABCセンターと兼務という形で、新しいプロジェクトの手伝いをして
くれている。

本社と離れているせいか、うちの職場は、忘れられやすい。この職場に配
属になったときに配布されるべきものが、しばらく配布されなかったり、と
いうことはしょっちゅうだ。

この夏は、現場の職員が支給された新しいデザインの作業着が、うちの4人
の職員には配布されなかった。4人とも、被服関係を扱う部署に文句を言う
わけでもなく、「来ないのかな」と言ったなり、もう夏が終わってしまった。

その話をきいて、被服関係の部署にさっそく電話した。

今回、うちの4人は、プロジェクト関係なので、現場扱いではなくなって
いるとのこと。だから作業着の支給がなくなった。毎日作業するわけではな
いので、とのことだった。

兼務なので、センターでの作業も時々発生する。なので、必要だと言えば、
認められそうにも思われた。私は、被服関係の部署とやりあう気まんまんで、
「向こうはこう言ってるけど、反論ありますか? 私、闘いますよ!」
と、4人に声をかけた。

そうしたら、即座に、
「いいえ、いいです」
と返事がきた。ちぇっ、残念!

当事者である本人たちが納得しているようすなので、ここで引き下がるこ
とにしたが、物足りなく感じている自分がいるのも確かである。

他者と対決することにためらいはなく、むしろそうすることによって、エ
ネルギーが湧きあがってくるのを感じる。そして、それは、自分にとって、
好ましい状態である。だから、物足りないと感じたのだと思う。

ただし、力は、自分のためでなく、他者のために使いたい。だから今回は、
もうここでやめることにした。

★11月9日(日)★
ふくちゃんと、メール。

ふくちゃんは、ちがう会社に勤めている友人だ。事務機器関連の会社なの
だが、最近繁忙期に突入したとのことで、ここのところ、今までになく「つ
かれた~」という内容のへこたれメールが多い。土日も、どちらかは必ず出
勤しているとのことだった。

「大変だね」「がんばれ!」「残業代ためて、繁忙期終わったら旅行に行
く計画しようよ。あるいは、普段だったら買えないような、ちょっと高価な
買い物しちゃう?」「日曜出勤したら、上司がお弁当おごってくれたんだ。
一生懸命働いたら、ほら、いいことあったじゃん!」

そんなようなメールのやりとりを何度かした。

昨日の土曜日も出勤だったらしい。じゃあ、日曜日はゆっくり休んでねと、
メールした。すると、夕方になって、「今日はずっと寝てた」というメール
がきた。「あんまり休んだような気がしない」とも書いてあって、最後に
「あなたの元気を少しちょうだい」としめくくってあった。

言われて初めて、「え、私って、元気なんだ」と気づく。

自分で自覚することはほとんどない。けれども、そういえば親しい人には、
何度か言われたことがある。

エニアグラムを学ぶまで、私は自分にパワーやエネルギーがあるとは思っ
てもいなかった。学んで初めて、気がついた。エニアグラムは、私に、パワ
フルでもいいんだと教えてくれた。

先日、あるエニアグラムの勉強会で、完全でないことの自覚をすることで、
自己統合やバランス・成熟へと通じるということを学んだ。自分が不完全だ
と気づくこと、それが、成熟した人間性への第一歩だというのだ。自分に欠
けているものに気づいただけで、当然その欠けた部分がすぐに埋まるわけで
はない。

しかし、欠けていることに気がつかなければ、それを埋めることはできな
い。もちろん、足りすぎている場合だってあるだろう。

たとえば三角形が、いくら自分を円だと言い張っても、客観的には円では
ない。三角形が、自分が円になるためには、楕円形の部分が3つ、欠けてい
るのだと自分で気づくことが大事なのだ。気づいた時点がスタートで、失わ
れた楕円を探す旅がそこから始まる。完成された円を目指す旅とも言える。

エニアグラムは、私に欠けたところがたくさんあるということを教えてく
れた。また、同時に、自分の強みも教えてくれた。こう書いた時点で、欠け
た部分というマイナスのことでは日記を終わらせようとしていない自分がい
ることに気づく。マイナスにひとたび足をとられたら、そのまま負けてしま
いそうな気がするからだ。そこからずるずる自分の弱さに引き込まれ、二度
と立ち上がれないように思うからだ。

だから、自然にマイナスには目を向けない。自然に前を向いている。へこ
たれないこの感じが、人には元気そうにみえるのかもしれない。

(ここほれわんわん)

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「よー坊の成長日記」

★11月立冬★
「自分史シナリオ」という勉強会に参加している。30分のラジオドラマ
を想定し、「よー坊の成長日記」と題した10回シリーズのシナリオが形に
なりつつある。シナリオを書いていると、転機となった出来事を思い出す。

小学二年のひと夏の経験を「あの青空を忘れない!」としてまとめた。下
記はその一部だ。「よー坊のM」とあるMは、モノローグ(心のせりふ)の
こと。

シーン1「大泉第二小学校(東京)・廊下」

ナレーション 放課後。二年一組の少年達が、行進している。先頭の少年
(よー坊)が、長い棒を持ち、祭りの纏のように振っている。

少年達    ワォ、ワォ、ワオー! ワン、ワン、ワーン!

よー坊    ♪お犬様のお通りだい ワンちゃん様のお通りだい♪

ナレーション 先生達が慌てて職員室から飛び出してくる。

男性先生   こら~ぁ!お前達、何してるんだぁ~。
また、二年一組の○○達だな!

女性先生   きゃあ~!あの棒の先、あれ、犬か何かの頭の骨じゃないの?

よー坊のM  僕には、この行進をきっかけに、学校では「ワンちゃん」と
いうあだ名がついた。家では「よー坊」と呼ばれている。

シーン2「中川小学校(新潟)・二年生の教室」
よー坊のM  田舎(新潟)のお爺ちゃんが危篤になった。お母ちゃんが看
病に行くことになった。夏休みまで、まだ一ヵ月以上あるの
で、僕は田舎の小学校に転校することになった。お母ちゃん
は、「腕白坊主を東京に残していけない」と、特別に先生に
お願いしたそうだ。親戚のケン坊が、今朝、仲間のツトム君、
トシオ君と迎えに来てくれた。みんな僕と同じ二年生だ。

ナレーション 算数の時間。担任の中野先生(女性)が、「九九のニの段と
五の段をみんなで言ってみましょう」と指導している。

生徒達    ニ・一がニ、ニ・ニが四…。

中 野    では、ツトム君、言ってみてください。

ツトム    はい。二・一が二、二・二が四…、五・九、四十五。

ケン坊    (コソコソとよー坊に)ツトムは、クラスで一番頭がいいん
だいやぁ。

中 野    次、○○君。

ナレーション 急に指名され、あわてて立ち上がるよー坊。

中 野    東京の学校では、もう九の段までやっているそうですね。
九九を全部、言ってみてください。

よー坊    え~と、一・一が一… 三・三が九…。

ケン坊    よー坊、ガンバレいやぁ~。

よー坊のM  僕はみんなで口をそろえて九九を言うのは、スズメの学校み
たいで好きじゃない。だから、東京の学校では、九九の時間
は、手の中でビー玉を転がして遊んでるんだ。

よー坊    … 六・六・三十六… 七・七・四十九…。

生徒達    すげぇいやぁ~! すげぇいやぁ~!

ナレーション 教室の中がざわめきだす。

よー坊    … 八・八・六十四… 九・九・八十一。

生徒達    うっわぁ~ぁぁ、すげぇ~いやぁぁ~!

中 野    よくできました。みんなもしっかり勉強して、九九を全部言
えるようになりましょうね。

よー坊のM  東京の学校では、勉強で褒められたことなどなかった。勉強
ができるって、こんなに気持ちいいんだ!それは、とてつも
ない初めてのカイカ~ンだった。

シーン3「休み時間の校庭」

ナレーション みんな裸足で遊んでいる。ケン坊達が相撲を取っている。

ケン坊    よー坊、なー(方言でお前の意味)、なかなか強いなぁ~。

よー坊    うん、まあまあかな…。

ケン坊    じゃぁ、トシオとやってみろいやぁ~。
トシオはクラスで一番強いぞ。

よー坊のM  ホントは、相撲には一番自信がある。東京の学校では、誰に
も負けない。さっきからやっていて、ここでも負けないなと
感じていた。トシオ君を除いては…。

ナレーション 土俵上で、トシオとよー坊が向き合う。ケン坊が行司だ。

ケン坊    見合って、見合って!はっけよい、残った!

ナレーション トシオとよー坊が、ガッチリと組み合う。動かない。お互い
に相手の強さを肌で感じているようだ。周りの少年達も息を
殺して二人を見つめる。夏の太陽が照りつけ、二人の影が色
濃く土俵に映る。一瞬、風がよぎった時、トシオが前に出る。

それに合わせ、よー坊が右すくい投げを打つ。トシオが左上
手投げを打ち返す。重なり合って倒れるトシオとよー坊。

ケン坊    トシオ山の勝ち~ぃ!

ナレーション よー坊が仰向けに倒れている。その瞳には真っ青な空が映っ
ている。胸が大きく波打っている。

よー坊のM  一瞬、上下がわからなかった。だけど、目に飛び込んできた
のは、抜けるまでに澄んだ青空。こんなに見事にひっくり返
されたのは初めてだった。自分の一番自信のあるものが崩さ
れた瞬間だったが、悔しさよりも心は妙に清々しかった。

その時まで何も聞こえていなかった耳に、セミの鳴き声が響
いてきた。目に映った青空が、一層鮮やかに心に残った。

自分の一番自信のあるものが崩され、得意でないものを褒められた少年時
代の経験。あの時、目に映った青空は、少年に広い視野と限りない深さを教
えてくれた。単なる腕白坊主が、変身していく道標となった。過去の青空を
大切にし、新たな青空との出会いを楽しむこと、これが人生かなと思う。

(馬力アサガオ)

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(編集後記)

エニアグラム日記は、諸事情により今回が最後となります。

自分のタイプや他のタイプを知るヒントになった、と言われるのは、とて
もうれしかったです。日常の中にも、それぞれのタイプの特長はあらわれま
すし、日記形式で楽しく私自身も読んでいました。

10年以上、続けてこられたのは、読んでいただいた多くの方と書いていた
だいたそれぞれのタイプの方とに支えられてです。

本当にありがとうございました。

メルマガは、月2回程度、今後とも配信していきますので、引き続き、
よろしくお願いいたします。
(本永)

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