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発行元:NPO法人日本エニアグラム学会   2014年2月16日 vol.406
エ二アグラム《自分探しの旅》
~~自己成長とコミュニケーションのための人間学~~

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水瓶のメダカ、環境の変化でおびえていた幼児、職場の新人も、伸びよう
としている。
自分には同僚や学生時代の同期生が励ましてくれる。人生は連携プレー。

学生時代のフイールドワークや教えが、立ち上ってくる。「擬似インテリ
になるな」と聞いた言葉から考えが、今深まっていく。女性上司も部下のバッ
クにいて支える。守りあうつながりが生まれていた。困ったときや失敗しそ
うになれば、出て行こう。やればできるのだから。

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■目次■
●エニアグラム日記 タイプ8「社長がきた!」 ●
●         タイプ8「メダカの学校と青春の勲章」●
○編集後記      ○

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「社長がきた!」
★2月10日(月)★
うちの営業所に、今日、社長が来ることになった。今日はたまたま社長の
用事がこの営業所の近くであり、そのままここを打ち合わせに使わせてもら
えないかということだった。

数名で打ち合わせができそうな場所は、社員の休憩室くらいしかない。秘
書課に伝えたら、そこでもよいという返事。かろうじてテーブルとイスはあ
るが、ドアなどはついていない。休憩室は、簡易間仕切りで区切られた、か
なりオープンな空間だ。

本社は今、経費節減で冷蔵庫などは置かれていない。ところが、うちは本
社から離れた出先機関であるのをいいことに、冷蔵庫はおろか、電子レンジ
やオーブンまで完備のかなりゆるい職場だ。めったにない、急なトップの訪
問に、みんな大慌てだ。

「レンジをかくせーっ」

というかけ声のもと、所長がどこからか持ってきた大きな白い布で、レン
ジとオーブンはおおってしまった。まるで銅像かなにかの除幕式前みたいな
感じになった。冷蔵庫の前には、パンフレットの入ったコンテナをさりげな
く積み上げ、カモフラージュに成功した。

社長が来るのは11時の予定だが、打ち合わせたい課の人は、30分くら
い前に到着して、待っていた。社長が忙しく、本社にいてもなかなか打ち合
わせの時間がとれないのだ。だから、たとえ出先に出向いても、社長と意見
交換をしたいということらしい。結局当初予定していた課だけでなく、別の
課の人間も来ることになって、順番待ちをしていた。

カッカッカッと靴音がして、時間より早く社長が現れた。社長にお茶をだ
さなければと思ったが、ここは平成生まれの若い女の子、さえちゃんにたの
んだ。うちの営業所は、日頃、お客らしい客が来ないところである。

「コーヒーをいれてね」

と頼んだら、さすが平成生まれ、コーヒーカップでどんと出せばいいんで
すよねと言う。ソーサー(コーヒー皿)をつけるという発想はないらしい。
スタバのマグカップが頭をよぎる。つい、おかしくて笑ってしまった。

しかし、この発言で心配になり、とりあえずささっと人数分のコーヒー皿
とコーヒーカップ、スプーンなどを棚から出してしまった。さえちゃんがコー
ヒーメーカーでコーヒーをいれているのを確認して、慌てて自席にもどった。

さえちゃんにすべてまかせるつもりが、心配でついつい出ていってしまっ
た。その後もかげからそっとのぞいて、お茶いれの様子を見守った。困った
り、失敗しそうになったら、出ていって助けよう。結局、自分の仕事はそっ
ちのけ、自分でやったほうがよほど早かっただろう。

無事お茶いれを終わって、出てきたさえちゃんの顔は緊張しすぎて表情が
なくなっていた。それを見て、ああ、ちゃんとできた、やっぱり頼んでよかっ
たなと思った。お盆だってちゃんと使ってコーヒーを出せた。今、なんでも
吸収して、すくすく伸びようとする育ちざかりの成長株だ。初めてのおつか
いならぬ、初めてのお茶だしは、成功した。

お茶の入れ方をもしや知らないのではないかと思って、つい手は出たけれ
ど、結局最後まで見守っていた。やればできると信じたからだ。

自分もとりあえずやってみるほうだ。できるとかできないとかは、そのと
きにはあまり考えない。チャレンジ精神というと聞こえはいいが、夏目漱石
の「坊っちゃん」の“無鉄砲”さに通じる。もちろん2階から飛び降りたり
しないけれど。そう、あまり考えてないからできるのかもしれない。

同様に、無条件に周りの人に対してもやればできるというふうに思ってい
る。やっているうちに困るようなことがおこったら、そのときは助けよう。
そのために、うしろで見守っている。そして、ああ、できそうだとゴールが
みえてきたら、そっとどこかへ行ってしまうと思う。

(ここほれわんわん)

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「メダカの学校と青春の勲章」

★2月節分★

玄関前の大きな水瓶に柔らかな日があたり、水草の中にメダカの姿が見え
隠れしている。この姿を見つけホッとした。1月下旬の寒い朝には、かなり
厚い氷が張り、寒い冬をメダカはどう過ごしているのかと気になっていたの
だ。節分が、水を温ませメダカを目覚めさせてくれた。

メダカと水草を眺めていると、生命の持つ生きる力・エネルギーに改めて
感心する。昨年の初夏には、10匹の親から200匹以上の新たな命が誕生
した。盛夏には、メダカ達が心地良さそうに泳ぎ回っていた。夏から秋へ移
ろう中で、メダカ達の動きは静かになり、冬には水底で冬眠状態になったの
か、水面に姿を見せなくなっていた。そんな生き物が、節分という季節の変
わり目に、また元気な姿を見せてくれたのである。

この水瓶は、空家となっていた実家を改築して昨春スタートさせた地域福
祉スペースの玄関前に置いてある。地域の中に、実家のような安心できる場
を作り、そこに子ども・若者達が集い、みんなで一緒にワイワイ過ごしなが
ら、自ら育つことを応援する場のシンボルとしてメダカを育てているのだ。

今、このスペースで2歳3ヵ月の男の子(Y君)と10ヵ月の女の子(M
ちゃん)がお母さんと生活している。DVを受けたことを契機に昨年の11
月初旬に避難してきた。

生活を始めた当初は、子供達の表情・行動には、どこか怯えのようなもの
を感じた。そんなY君とMちゃんが、最初に触れたのが水瓶の水であり、出
会ったのがメダカ達であった。そしてこのスペースを訪れてくれる地域の人
達と触れ合う中で、Y君とMちゃんの表情が柔らかくなり、心の底からの笑
顔も増えてきた。今では近所の人気者である。

今日、Y君は久し振りに会ったメダカ達を指差して目を輝かせ、ニッコリ
微笑んでくれた。Mちゃんも小さな手を水瓶に伸ばし、細い指を水面でユラ
ユラと揺らして「アー!」と感嘆の声をあげた。水瓶横の日のあたる木製ベ
ンチに腰掛けているうちに、私の腕の中でMちゃんの可愛い寝息が聞こえて
きた。彼女の小さな右手が、私の左手人差し指をギュッと握っている。Y君
はボールを青空に向かって「エイッ!」と投げ上げた。ここは二人にとって
安心できる実家であり、メダカの学校になってきているようだ。

★2月立春★

「青春の勲章はくじけない心だと…」という歌詞が主題歌に入っている青
春ドラマが流行っていた頃、もう30年以上前の大学生時代、私はユニーク
なゼミに属していた。「地表における人間行動学」と称し、銀座をフィール
ドとした追跡調査を行い、データを収集・分析し、仮説を立て・実証してい
くのである。この生きたデータを集めるという作業が想像以上に大変。

数寄屋橋公園をスタート地点とし、銀座というフィールドに入ってきた人
をランダムに二人一組で追跡し、詳細な地図上に行動ルートを落とし込んで
いく。追跡し2時間経ったらアンケート調査をお願いするというもの。途中
で見失ってしまったり、アンケートを断られたりして、完成データは6割に
満たないのだ。そんな中、完成データ400ケース以上を目標に励んでいた。

ゼミの恩師の第一の教えは、「擬似インテリになるな!真正インテリとな
れ!」。上記のフィールドワークを端的に表現している言葉である。ゼミに
は3年生と4年生が各20名程いたが、4年生はリーダー、3年生はフォロ
ワーとしての役割を徹底して学んだ。昔の体育会に近いイメージである。

3年生に与えられる最初の試練は、フィールドワークを毎日行いながら、
毎週「課題図書」と「ゼミの課題」が与えられる。自分の考えをレポートと
して提出、同時にゼミの日には、プレゼンテーションを行う。自分の考えが
大切で、単なる感想文やサマリーは差し戻しとなる。するとドンドン課題が
積み重なってしまう。今でも覚えているのは、最初の週に与えられた図書の
「遊びと人間」(ロジェ・カイヨワ著)と「ホモ・ルーデンス」(ホイジン
ガー著)。2冊とも450ページ程度の難解な本である。レポートの審査役
は4年生だが、差し戻す場合には4年生にもそれなりの根拠と覚悟がないと
できない。

今日、ゼミの同期会があった。こんなユニークなゼミを選び・揉まれた
仲間なので、各々ユニークなおじさんになった今でも「青春の勲章(=くじ
けない心)」を磨いている。年に2回程度開催する同期会に、毎回半数以上
は集まってくる。

今回も11名の仲間が集い、話の中心は、ハードではあったけれどそれだ
け輝いていた「真正若さ」への思い出と最近の「病気自慢」であった。そし
て、ちょうど1年前、小さなルール違反を大きな事件として取り扱われた私
個人の厭な出来事も話題になった。現在、公的な機関が私の不服申請を正式
に受理し、審査が進行中である。相手が巨大な組織でもあり、当初私個人は
争う気はなかったのだが、前回の同期会で、「理不尽な取り扱いだ」と仲間
が涙を流し悔しがり、励ましてくれたことが不服申請への第一歩となった。

「どんな困難に直面しても、朝日に向かって走るぞ!といつも行動してい
たのはお前だろう」「正義の直球をズバッと投げ返せ!」「相手が巨大であ
ればあるほど心の炎を燃やせ!」などと激励されたのだ。

別れ際の「おう、またな!」との握手に力がこもった。桜の花が満開の頃、
昨年の3月末に亡くなった恩師のお墓参りに行こうと次回会合の約束をした。
恩師のお墓は、鎌倉の建長寺の高台に立っている。

(馬力アサガオ)

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(編集後記)

来週(23日)は、東京マラソンですね。

一昨年、昨年と2年連続で当選したのですが、さすがに、本年は外れまし
た。

今年は、、3月末に板橋Cityマラソンに出ます。

(本永)

★エニアグラム日記の次号は、タイプ9。 3月16日配信予定です★

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