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発行元:NPO法人日本エニアグラム学会   2013年12月22日 vol.400
エ二アグラム《自分探しの旅》
~~自己成長とコミュニケーションのための人間学~~

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クライアントの前でも友人とのつきあいでも希望を聞き、
相手を優先し自分は何を言うべきかと考えている。
失望させないよう寄り添い、ふれあっていく。

同時に頭の中で引っかかり、心の中で揺れるものがある。
「あれでよかったか」。相反する感情が出てきて悩む。
いつもこの両価性(アンビバレンス)を自覚しながら生きている。

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■目次■
●エニアグラム日記 タイプ6「クライアントに伝えた後」●
●         タイプ6「友人との時間」     ●
○編集後記        ○

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「クライアントに伝えた後」

★12月4日(水)★

わたしは経営コンサルタントの仕事をしている。G社というクライアント
での役割は、社長や幹部への助言や考え方の整理に徹しており、人事や採用
等の決断には口を挟まないことにしている。しかし、今回は思わず口を挟ん
でしまった。

G社の営業部門、仕入部門、経営企画部門の3人の役員と昼食をとってい
る時、そのうちの一人であるAさんから「今日の午後、採用の面接があり、
3人で面談します。すごい経歴の人なので期待しているんですよ」という話
があった。

Aさん:「○○さん(以後Dさん)という△△大学を出て、大手企業を経
て、難関資格を取り、長くアメリカで働いていた人です。高齢になった親の
面倒を見るために帰国して当社への入社を希望しているんです」

その珍しい名前と学歴と年齢を聞いた時に、ピンとくるものがあった。か
なり以前にマスコミを騒がせたある事件の渦中にいた人物と重なったからだ。
その人は、罪を犯したわけではない。でも、社会的に批判される団体に所属
し、擁護の発言をし、その後のスキャンダルでマスコミに追い回された人で
ある。

私:「それって、□□という事件の○○さんじゃない」

Bさんが、「えっ!」と驚き、スマホで名前と事件名を検索した。間違い
なく、その人物だった。まさかと思いながら指摘したのだが、当たってしまっ
た。

Aさん:「どう考えればいいの?採用するつもりでいたけど・・・」

私:「採用は見送るべきです。その人自身は優秀でいい人かもしれないけ
ど、社内でその事実が分かった時のリスクは大きい」

Cさん(採用する予定であった部門の責任者)「って言うか、もう、この
事実を知った時点で私は採用に反対です。もし、採用するのであれば他の部
署で採用してください。私の部署では他の人を探します」

あっという間に、不採用の方向性で決まってしまった。その時、私の中で
複雑な気持ちが起きはじめる。

採用しないことは、G社にとって正解である。G社にとってのリスクを避
けることは私のすべき仕事だ。一方で、事件から年月もたち、事件の渦中に
いたとはいえ、罪を犯したわけでもないのに、未だに覚えている私のせいで、
不採用になるDさん。優秀な人のはずなのに・・・。

「気の毒」という気持ちが胸に、と同時に「私のせい」という考えが、頭
の中に引っかかる感じがする。その事実を知ることはなく、一生会うことの
ないDさんに恨まれるような気がしているのだろうか・・・自分でも、よく
わからない。

私:「でも、まあ人物をちゃんと見て決断してくださいね。ひょっとした
ら、G社に必要な人なのかもしれませんから・・・」と発言して話を終えた。

その後、Aさんと二人きりになった時

私:「私が気づいていなかったらDさんは入社して何も起きずに会社に大
きく貢献してくれたかもしれませんね」

Aさん:「そんなことないですよ。後で気づいて問題になるリスクの方が
大きいです。気づいてもらえて、本当によかったです」

割り切っていることを装いながら、心の中で揺れる両価性。自分のタイプ
を思い知らされた。

(油売り)

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「友人との時間」

★11月14日(木)★

朝の八時前に電話のベルが鳴った。ふだんなら、何かよからぬ知らせでは
ないかとドキッとするところだが、今朝は見当がついた。きっとHさんだ。

数日前に、ビーズフラワー教室の作品展の案内葉書を、彼女の家の郵便受
けに入れてきた。いつも忙しく動き回っているから、負担をかけたくはない
けれど、知らせないという選択肢はなかった。

こういう際には必ず足を運んで、しっかり味わってくれる人だ。その晩に
メールで私の予定を尋ねてきたので、木曜か金曜なら都合がつくと伝えてお
いた。

電話の声の主と、今日の夕方に会場で待ち合わせることにした。それまで
は、それぞれの予定をこなすために。

一つひとつ、じっくりと作品を見ながらコメントを添えてくれる彼女に、
解説付きで応じていった。私の作品についても、こういったところに「あな
たらしさ」が出ていると、素敵な言葉をかけてくれた。

頻繁に会うわけではないけれど、お互いに「共通の感覚で話せる相手が近
くに居てくれてよかった」と、素直に言い合えることが嬉しい。

それにしても、楽しく充実した一日ではあったけれど、ここのところ色々
なことが重なって余裕を欠いている。

明日こそは家に居て、やることをサッサとすませ、未だ手つかずの資格試
験のテキストを開こうと心に決めた。たとえ急な誘いがあっても断ろうと、
心の中で自分に何度となく言い聞かせながら、眠りについた。

★11月15日(金)★

携帯の電源をONにしたら、着信メールがあった。Sさんからだ。「作品展
に行って、一緒にランチでもしませんか」。

並んだ文字をたどるうちに、昨夜の固い決心はもろくも崩れ、心は反対方
向に大きく揺れた。

Sさんは隣町に住む友人。ちょうど作品を搬入した日の帰りに、駅でバッ
タリ会ったので、案内葉書を渡したのだった。

限られた時間の中で、何を選ぶべきか。何が何でも洗濯と掃除だけは午前
中にすませよう。その後、どのように過ごそうか。

このタイミングを逃したら、Sさんとゆっくり話ができるのはずっと先に
なってしまうだろう。何より、忙しい中で時間を作って見に来てくれるとい
うこと自体が有難い。楽しいひとときを過ごせるだろうことも、目に見えて
いる。

自分のことなら、辻褄合わせは何とかなるか・・・というか、するしかな
い。

明日は久々に息子(の矯正歯科と、ついでの必要品の買物)につき合う約
束だし、その翌日はワークショップと作品展の片づけがあるし、月曜日は仕
事があって・・・。

考え出したらキリがない。不安材料を挙げるより、「今しかできないこと」
を優先しよう。

資格試験勉強と、ビーズフラワーの次の課題作りが非常に気がかりだけれ
ど、何とかなるだろうと思うことにした。

すぐに「OK」の二文字をSさんに返信した。ニコニコマークつきで。

(ゆらりん)

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(編集後記)

おかげ様で、この号が400号です。配信をスタートして、約10年です。

これからも、末永く配信を続けていければと思っています。

よろしくお願いいたします。
(本永)

★エニアグラム日記の次号は、タイプ7。 1月19日配信予定です★

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