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発行元:NPO法人日本エニアグラム学会   2013年5月19日 vol.379

エ二アグラム《自分探しの旅》
~~自己成長とコミュニケーションのための人間学~~

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土を掘る。子ども時代に住んだ家の屋根瓦の破片が出てきた。掘らなけ
れば出会えない。試練の中にいるときも、心を掘れば自分の分身に出会う。
新風がやってくる。涼風が吹く。それをしっかり受けとめて生きるのだ。

入院しても痛みは書かない。回復の過程でおもしろいことに気がつく。
目標を克服し「困難に打ち勝つこと」をいいきかせていた。いつもと同じ
ではないか。しかし読む者は、励まされている。明日の手術を待つ人にさ
わやかな香りをおくる。

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■目次■
●エニアグラム日記 タイプ8「人生の師とおみくじの教え」●
●         タイプ8「入院しました」 ●
○編集後記             ○

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「人生の師とおみくじの教え」

★5月3日(金)★

身を乗り出しながら、「おう、おもしろそうじゃねえか!」とあの人が言
う。体をイスに戻しながら、「やってみな!」と真っ直ぐな視線を投げてく
る。一呼吸あって、「でもなぁ、ここんとこはこうした方がいいんじゃねえ
か?」とニコッと微笑む。あの人の魔法の「三段激励」である。

あの人とは、私が20代後半に出会った上司Sさん。もう30年も前のこ
と。Sさんの席に、部下が資料を持って相談にいくと、いかなる時も「三段
激励」で部下の心に火をつけてくれた。みんな、Sさんの魔法が心地よかっ
た。

Sさんのいる空間では、いつも「おもしろい」という言葉が踊っていた。
周りの部下たちは、「仕事」が楽しくてのめり込んでいった。「やってみな」
にもキモがあると、エニアグラムを学んで気がついた。Sさんは、私には
「やってみな」と声をかけてくれたが、他の部下には「○○と一緒に・・・」
等とアドバイスすることもあった。部下に応じて、後押しの一言を見事に使
い分けていたのだ。三段目の「修正箇所」も相手が気持ちよく受け入れられ
るように指摘してくれた。

今日、「Sさんを囲む会」があった。30年前の部下たちが、今でもSさ
んを慕って年に一度は開催している。会が盛り上がった頃、「三段激励」の
話題になった。Sさんは、「だってよう、ホントにおもしかったんだもん」
とカッカッと笑った。快活さは健在だ。

私は、管理職になってから、いつもどこかでSさんをモデルにしていた。
悩んだ時はSさんを思い出した。Sさんなら、どう考え行動するだろうと。
今年の3月末、私は少し早目に退職した。今は、「高校生世代を中心とした
若者たちが自由に集い・ワイワイできる地域福祉スペース」を主宰する準備
を進めている。これをSさんに相談してみた。30年前と同じ「三段激励」
で後押ししてくれた。そして「俺も仲間にいれてくれぇ!」とおまけがつい
た。

若者たちには、こんな「人間の本物」に触れて欲しい。私の人生における
幸せの一つは、憧れでもある「人生の師」と出会えたことである。次回の
「Sさんを囲む会」は、10/14の「体育の日」と決めた。私が幹事を引
き受けた。

★5月4日(土)★

今年の1月、厭な出来事に遭遇した。あまりに厭な出来事だったのでお祓
いをしていただいた。その帰りに引いたおみくじは珍しい「半吉」。そこに
書いてあったことは、「英雄的波乱、変怪数奇の運気なり。侠気侠情に富み、
大変動の意を有す。・・・悪知恵を恐るべし。・・・争い事は厳に慎み、熱
意と具体的取り組み持てば安心なり」。その時の状況・心情に何ともピッタ
リであった。

大いなる「理不尽」を感じもしたが、おみくじの教えのとおり争いは慎み、
前向きに新たなスタートを切るため3月末で退職した。そして「若者たちが
自由に集い・ワイワイできる地域福祉スペース」を主宰することにした。実
は3年ほど前から構想を練り始め、空家になっていた実家を「地域福祉」の
実践の場とするため改築し、私道に季節の花を植えたりしていた。昨年は見
事なアサガオが咲き誇り、地元の人気スポットにもなった。

今年はさらに力を込め、土作りから始めた。鍬で30cmも掘っていくと、
赤茶けた屋根瓦のかけらが出てきた。小学生の頃住んでいた家の屋根の色が
蘇る。鍬は数十年前の思い出も掘り起こしてくれた。そこに石灰をまき、堆
肥を混ぜ一週間寝かせておいた。そして今日、スイカとメロンの苗を植えた。
緑のカーテン用のアサガオも。小さな苗が花を咲かせ、大きな実を結ぶまで
フォローし見守るのが楽しみである。苗が若者たちにダブってみえる。余計
なお世話は不要。一緒にいて、見守っていればいいのだ。

土いじりをしていると、一筋の風が吹いてきた。厭な出来事に遭遇した時、
「八風吹不動」と「疾風に勁草(けいそう)を知る」という言葉が支えてく
れた。ともに「自分を惑わす出来事・苦しい状態に陥った時に、強い心の根・
しなやかな心の根を張ろう」という意味と解釈している。今まさに薫風の季
節。心はいつも美風・清風・爽風でありたい。これから若者たちと一緒に、
熱風・光風・旋風を吹かせたい。そして、何歳になっても新風でありたい。
私に足りない涼風も意識し、仲間の力を借りたい。

目指すは「心耕良芽」。心(土)を耕せば、良い芽(若者)が育つ。夏に
なったら、アサガオの緑のカーテンの日陰で、若者たちと実ったスイカにガ
ブリとかみついてみたい。今、五月の風が、微笑みながら吹き抜けていった。

(馬力アサガオ)

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「入院しました」

★5月13日(月)★

一週間ほど入院することになった。病室は6人の大部屋だ。日ごろ縁のな
い病院内の風景に、しばらくは興味津々だった。

手術をして1~2日は動けなかったが、看護師さんは容赦がない。
「さあ、歩いてください。術後の癒着防止ですよ」
痛みをこらえて、病棟のろうかを、言うとおりに歩いた。

元気なときは、すたすた歩いていたのに、どうしてどうして、手すりにつ
かまって、よたよたとしか歩けない。1往復しては、いすで休むといった具
合。しかし、ふしぎなもので、歩けば歩くほど、動けるようになっていく。
2日目からは、手すりもいらなくなった。

初日は、なんとかろうかを5往復した。次の日は10往復、その次は15
往復。自分で勝手に、毎日5往復ずつふやそうと決めた。今日のノルマを歩
き終えるまで、私にはゆったりとした時間はおとずれない。「あと○往復!」
と、せからしい。

入院しているんだから、もっとゆっくり過ごせばいいのに、勝手に忙しく
なってしまった。ふと、自分自身の、仕事のやり方にも通じている気がした。

自分で勝手に、今週はここまでやるというような目標をたて、それにより、
自分を忙しく追いこんでいた。ごく近い未来の「自分が勝手にたてた」目標
をこなしていくことに没頭して、その目標を達成するまでは、勝手に忙しい。

小さな目標をたて、それを克服するためにチャレンジしているのだと思い
あたる。挑戦して、その困難に打ち勝つこと。それを、入院中というこんな
状況の中でも、自然にやっていた。小さな事だけど、そうか、私はいつも、
挑戦しているんだ。しかも、日常的に。

病室にもどって、向かいのベッドの高田さんとおしゃべりした。
ちなみに、彼女の場合は、看護師さんに、「歩いている自分を見せる」の
だそうだ。なので、看護師さんがいないと、歩きに行かない。せっかく歩き
に行っても、ナースステーションに看護師さんがいないと、歩くのをやめて
もどってきた。「見られる自分」に意識があるようだ。

同じ「歩く」でも、性格によって、ちがいがあって、おもしろい。

★5月14日(火)★

やっと入浴(シャワー)の許可がおりる。

今回の入院の楽しみは、家からもってきたねこのカレンダー、ばらの香り
のコロン、それから、ごはん。カレンダーは日めくりで、毎日かわいいねこ
の写真がみられる。コロンも、さっとひとふきでいい香りがする。

私はなぜこんなに楽しいことをみつけようとするのだろう。楽しいことは、
私に、生きる勇気を与えてくれる。私の元気の源だ。どんな状況でも、その
状況に応じた楽しいことを、探している気がする。

コロンは、同室のみなさんにけっこう好評だった。高田さんから、ゼリー
をもらって、ぷしゅっとひとふきのお返し。

すると、となりの人から、「あら、いいにおいねえ」といわれて、こちら
にも、ぷしゅっ。これをきっかけに、同室のみんなとなかよく話せた。持っ
てきてよかったな。

★5月15日(水)★
大部屋では、ベッドとベッドの間はカーテンでしきられている。具合の悪
いときはさすがに閉めていたが、今日はカーテンを開けて、みんなでおしゃ
べりをした。まるで修学旅行のようだ。

だれの主治医がかっこいいとか、お見舞いにきてくれるお子さんがそっく
りだとか、たわいもない話で、大笑いをした。

消灯前、おくのベッドの人が、なにやら緊張気味だ。明日手術だからだ。

「よかったら、どうですか?」
と、ぷしゅっとコロンをひとふきした。
「いいにおいをかぐと、リラックスできるらしいですよ」
するとその人は、にこっと笑って、
「ありがとう、おかげで元気がでたわ」

元気づけられて、よかった。
明日の手術が、うまくいきますように!!

(ここほれわんわん)

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(編集後記)

スマートフォンを買いました。

使いこなすには、時間がかかりそうですが、
いろいろなことが出来るのに驚きです。

(本永)

★エニアグラム日記の次号は、タイプ9。 6月23日配信予定です★

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