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発行元：NPO法人日本エニアグラム学会　　 2011年2月20日 vol.298

エ二アグラム《自分探しの旅》
～～自己成長とコミュニケーションのための人間学～～

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職場で、グラウンドで、歯科医院で、偶然だが、ふたりともリーダーを
見ている。会社の上司の謙虚さ。高校サッカーの監督は、熱く選手を励ま
している。

身体は敏感に、季節を感じとり、ゾクッとする。ゾクッとは、この人た
ちの実感、感動表現である。

怒ると「傷つかないで」と声をかけてくる上司。怒りの裏にある「傷」
は見抜かれていたのだ。歯医者の椅子では、身体の力を抜くため、自分を
俯瞰してみる。すると「硬直した私」は、ヨロイをつけている。

外してみると、体の中の力は抜けていた。

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■目次■
●エニアグラム日記タイプ８「謙虚な人」 ●
● タイプ８「ゾクッとする季節」●
○編集後記　　　　　　　　　　 ○

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「謙虚な人」

★２月１４日（月）★
うちの職場では、始業前に１０分程度、朝礼が行われている。業務上の連
絡や報告、注意事項の確認などが、主な内容だ。

今日の朝も、いつもどおり、定例の報告事項があって、朝礼はそのまま終
わろうとしていた。

実は１２日の土曜日に、職場の端末の入れ替えがあった。課内からひとり、
立会者がいなくてはならなかった。休日出勤をしてくれたのは、黒田係長だ。

なぜ、私がそれを知っていたかというと、たまたま端末入れ替えの立会者
をだれにするのかといった内容の、担当部局から係長あての電話を受けたか
らだった。

思わず手をあげて、
「土曜日、端末の入れ替えがありました。黒田係長が立ち会ってくださいま
した。お休みの日に、ありがとうございました」
と、最後の報告事項につけ加えた。

すると、みんなも気がついて、
「黒田係長、ありがとうございました」
と、口々にお礼を言った。

黒田係長は、ひかえめなお人柄で、いろいろな仕事をこなしてくださるの
に、これは自分がやったとアピールしないタイプである。今回の休日出勤だっ
て、上司だからといって、部下にやらせるわけでもなく、ご自身が休日を返
上して対応してくださったのに、それをみんなに伝えることもなかった。

今日の朝礼も、多分係長は、おっしゃらないんじゃないかと思ってはいた
けれど、本当に言わなかったので、ついつい私が、みんなに伝えてしまった。
係長が言わなかったら、私がみんなに伝えようと、心に決めていたのだ。

だれだって休日出勤なんてイヤなのに、自ら出社してくださって、なのに
そのことを、みんなが知らないなんて、せっかくやってくださったのに、そ
の甲斐がないと思ったのだ。

謙虚でさりげない黒田係長は、みんなに慕われている。

★２月１７日（木）★
課長が言った。
「ほら、そんなに傷つかないで」
課長に言われたことに対して、私がむっとして言い返したときのことだ。

私は、そう言われて、はっとした。
そう言われるちょっと前まで、私は、自分は怒っているんだと思っていた。
でも、言われてみてはじめて、自分が傷ついたことに、気がついた。

自分では怒っているとしか思えないようなときに、周りの人からは傷つい
たのだと受けとられることは、これまでも何度かあって、そしてそれは、当
たっていた。

私にとって、自分が傷つきやすいということを、周りの人が知っていてく
れるのは、とてもありがたいことである。なぜなら、次回から、私が傷つか
ないように、あつかってくれるからだ。

それにしても、どうして、こんなに傷つきやすいのだろう。
傷つくのはいつも、ほんとうに、たわいもないようなことだ。

怒る前に、自分が傷ついたのだと気づくようになれたら、もう、そんなに
怒らなくなるのかな。

私よりも、周りの人のほうが知っていてくれる。この状況に、ほっとする。

（ここほれわんわん）

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「ゾクッとする季節」

★１月　小寒★
冬という季節が好きだ。凛と凍えるような寒さの中で、体がゾクッと反応
する。どこまでも透明な空気、澄み切った青空をバックに、全ての葉を落と
しても真っ直ぐにスクッと立っている大木を見ると、心がゾクッとする。

さらに私にとっての冬の風物詩は、高校サッカーである。今年もたくさん
のゾクッとする感動をもらった。中でも、準決勝で涙したＫ高のＹキャプテ
ンの行動とＯ監督の言葉に、ゾクッとした。

この試合の決着はＰＫ戦へ。４人目まで、互いに一人がはずして３－３。
相手が５人目を決めて４－３に。Ｋ高の５人目は、エースストライカーの
Ｙキャプテン。国立競技場の空気がピーンと張る。フウッと深呼吸をした後、
Ｙキャプテンの右足が大きな弧を描いた。勢いのあるボールが弾丸のように
飛び出した。しかし、ゴールを反れた。

その瞬間に、グラウンドに泣き崩れるチームメイト。ここでＹキャプテン
の声が響いた。「胸を張れ！胸を張っていいんだぞ！」と、仲間の肩を抱き
ながら、頭を撫でながら、手を握りながら。一番泣き崩れたいのは、Ｙキャ
プテンであろうに・・・。

そして控え室での監督の一言。「Ｙのバカヤロー！お前のせいで負けた。
２年続けてＰＫを外しやがって。でもな、プロへ行ったら、『２年続けて
ＰＫを外した男』が代名詞になる位の選手になれよ！」監督の顔からは白い
歯が覗き、Ｙキャプテンの顔には笑顔と大粒の涙が同居していた。周りの仲
間は全員、笑顔で肩を組み合っていた。ゾクッの針は、最大限に振り切れた。

注１．ＰＫ戦：試合が同点で決着がつかなかった場合に、ゴール前のペナル
ティースポットからボールを蹴り、勝敗を決する。双方５人ずつ蹴る。
注２．Ｙキャプテンは、Ｊリーグのチームから指名を受け、高校卒業後プロ
入りする。超高校級の実力の持ち主。２年生で出場した昨年も、準決
勝でＰＫを外し敗れている。何とこの時も最後の５人目。今回、ＰＫ
戦になった時、「５人目を蹴らせてください！」と監督に志願した。

★１月　大寒★
スポーツをしていてケガをした。前歯が２本折れ、目の前を空中遊泳しな
がら飛んでいくのが、スローモーションではっきりと見えた。これをきっか
けに歯医者さん通いを始めた。

実は、歯医者さんが大好きである。差し歯の完成まで時間がかかることを
口実に、歯全体のチェックをしてもらっている。今日はもう大寒だから、
２ヶ月、通っている。かつては敬遠していた歯医者さんだが、エニアグラム
を学んだことにより、歯医者さんのイスに座るのが心地よくなったのである。

３年ほど前、奥歯の治療を受けている時に、先生から「舌の力を抜いて、
歯にぶつからないようにしてくださいね」と言われた。やってみようとする
が、舌に力が入って勝手に動き出す。まるで磁石に引き付けられる様に、治
療している歯に舌が近づいてしまう。その時に気がついた。治療中の私は、
舌だけではなく、拳をお腹の上で強く握り、全身に力が入っていることを。

この時以来、歯医者さんのイスで「力を抜く」ための試行錯誤を始めた。
その解決策の１つが、イスに座っている自分を俯瞰すること。イスの上にあ
るあの眩しいライトの位置にもう１人の自分を置き、イスに座っている自分
を眺める。そこには全身にヨロイをまとったように硬直した私が見える。

俯瞰することは、エニアグラムのワークで「自分自身を見つめる感覚」だ。
俯瞰しながら、まとったヨロイを外していく。徐々に体の力を抜いていく。
さらに細部を意識して、口の周りの筋肉を緩めると舌もダラリとなる。歯医
者さんのイスに座る度に、こんなことを繰り返していた。その結果、リラッ
クスして座れるようになり、このイスを大好きになったのである。

おまけも生まれた。今年の歯医者さんからの年賀状に、「素敵な笑顔をあ
りがとうございます。いつも癒されています」とあった。力が抜けることで、
自分自身でも笑顔でいる機会がとても増えたと感じる。歯医者さんのイスは、
歯の治療だけではなく、体も心も柔らかく成長させてくれる魔法のイスであ
る。今日、笑顔に似合う真っ白な差し歯が入った。口元でピカッと光った。

（馬力アサガオ）

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○ 編集後記 ○

もう２月も後半ですね。
年初に本年の目標を立てられている場合ですが、その後いかがでしょうか。

今からになりますが、エニアグラムを学ぶという目標はいかがでしょうか。

本年４月以降のワークショップの日程が決定しています。
（学会のホームページにも掲載されています。）

http://www.enneagram.ne.jp/schedule.htm

みなさまの参加を心からお待ちしています。

追伸
「ミニまぐ」もスタートしました。タイプの特徴をクイズ形式で学べます。
パソコンから
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http://www.mag2.com/m/M0091131.html

携帯では
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★エニアグラム日記の次号は、タイプ９。　３月２０日配信予定です★

（本永）
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