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発行元:NPO法人日本エニアグラム学会   2010年8月22日 vol.280

エ二アグラム《自分探しの旅》
~~自己成長とコミュニケーションのための人間学~~

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日々の営みをそのまま語るのも一つの才能だ。赤ちゃんがきた家庭、
巣立っていく子どもたち。とくに優しいこの人たちの言葉は、ひとを
引き寄せる。かつて「この人たち(タイプ2)にとって生活は作品な
のだ」と聞いたが、育てる、看病する気持ちがそのままつたわってくる。

「母の人生は、どんなだったろうか」何が幸せだろうと考えながら
車椅子を押す。それでいて、人の世話をやくのは「自分と向き合いた
くないから」ではないかと自らを振りかえっている。

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■目次■
●エニアグラム日記 タイプ2「赤ちゃんがやってきた」 ●
● タイプ2「母の人生は幸せだったのか」●
○編集後記              ○

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「赤ちゃんがやってきた」

★8月12日(木)★
明日から家族で夫の実家の北海道に帰省する。もう夜中2時をまわったの
だが、あれこれと準備をしていて遅くなってしまった。私たち夫婦が児童相
談所に登録して里親になったのが3年前。登録してすぐに我が家に迎えた里
子(さとご)のI君と一緒に帰省するのはこれで何度めか。夫の実家もI君
を可愛がってくれ、すっかり孫の一人になった。

今回の帰省ではもうひとつ報告がある。実は2月にI君の弟として、二人
目の里子がうちにやってきたのだ。当時生後8カ月、現在は1歳2カ月にな
る赤ちゃんA君。彼が来てから私はもう大忙しで、ほとんど記憶がないくら
い。I君は5歳でうちに来たので、私にとって赤ちゃんを育てるのは初めて
だ。

世間一般では赤ちゃんは「大変」かもしれないが、最初の子育てが5歳児
からスタートだった私からすれば楽だ。私を実の親同然に思ってくれるし、
ためし行動もない。生い立ちを告知するのももう少し先でいい。今は日々の
世話だけをしていればいいのだから。夜泣きや後追いはつらいが、どれも健
全さゆえに起こること。

・・・と、ここまで書いたら、さっそくA君の泣き声が。今回の日記はこ
こまでにしましょう。
(お月さま)

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「母の人生は幸せだったのか」

★8月2日(月)★
アルツハイマー型認知症要介護5入院中の母は,この夏でまる3年入院し
ていることになる。車椅子に乗って,時折うつらうつらしている。病棟へ母
の顔を見に行くと,遠くからでも嬉しそうな顔をして不自由な手を挙げる。

でも,名前は一致しない・・・。目から入る情報と,誰であるかという記
憶と,名前を言うという機能が連動していない。ちゃんと分かってはいるこ
とは確実に伝わってくる。何かよくお話はしてくれるのだけれど,言葉がば
らばらで,何を話そうとしているのか分からない。

どんな意味があるのだろうと考えて,言葉の抑揚に合わせて「そら,よかっ
たねぇ」「あ~そんなことがあったん」など返すと,嬉しそうにする。

母がまだ元気だった頃の話をすると,遠くを見る目になる。母はいったい
何を思い出しているのだろう。母の人生は,どんなだったのだろうか。幸せ
だったのだろうか。「何も考えず,ゆっくりと一人で生活したい」と言いな
がら,働き続けていた母を思い出す。

私は,自分の身体を省みず働き続ける母に心を痛めたものだった。今は,
幸せだろうか。母の大好きなものを差し入れに持って行って,これもまた母
が大好きな濃い目の緑茶と一緒に,ゆっくりと味わう。母が目を細めて嬉し
そうな顔をする。

母が元気だった頃には,考えられなかったゆっくりとした時間だ。私が幸
せそうにこのゆっくりとした時間を過ごしているのを見て,母は嬉しそうな
顔をしているのかもしれない。

昨秋,母は転倒して大腿骨を骨折し,車椅子の生活を余儀なくされ,大好
きな徘徊もできなくなった。あの日,病院から電話がかかってきて,急いで
病院へ駆けつけた。母はベッドに,興奮した様子で横になっていた。そっと,
全身に触れていくと,左の足の付け根のところで,かすかに触られるのを嫌
がった。

搬送された病院で,大腿骨骨折が確認され,人工骨を入れる緊急手術をす
るかしないかの選択を迫られた。「私が来たから大丈夫」という魔術的な万
能感も吹き飛んでしまった。アルツハイマー型認知症の終末期の母にとって,
何が幸せだろうかと苦しみ考えた。

結局,歩くことは諦めないといけないけれど,体力を温存するため手術は
しないことにした。強烈な無力感と悲しみを感じた。働き詰めだった母が,
少しでも長くこのゆっくりとした時間を幸せに過ごせるよう考え,祈る日々
である。

★8月4日(水)★
息子が一昨年,娘がこの春,大学に通うために下宿を始めた。私は,一人
になった。世話をする子どもたちがいなくなった。ああ早く来て欲しいと夢
見ていた自由な生活がやってきた。が,なんだろうこの喪失感は・・・。

自分のペースで朝起きて,夜も好きなことができる。第一,時間をぶつぶ
つ切られてしまうことがなく,まとまった時間が一杯できる。あんなにあこ
がれていたのに,いざまとまった時間が手に入ると,何をしていいのか分か
らない。分からないどころか,自由になったことによって,自分の心の空虚
さや混沌と向き合わざるを得なくなった。

思えば,うすうす感じてはいた。何故,「自分の時間が欲しい」とぼやき
ながらも人の世話ばかり焼くのか。私は巧みに自分と向き合うのを避けてい
た,あるいは最低限の時間しか自分と向き合うことに使っていなかった。今,
真正面から向き合うことになった。

これまでの人生を振り返り,これからどう生きていくか,ひいてはどう死
ぬか考えていかないといけない。人生を振り返ると,後悔したり罪悪感を感
じたりもする。これからの人生を考えると,何が起こるかわからない恐怖を
も感じる。

だけど一つ確実に言えることは,子どもたちとのこれまでの人生がとても
幸せだったということだ。心の中には,子どもたちがもたらしてくれた幸せ
と勇気と誇りがある。新しい人生を歩んでいく恐怖にも勝てる気がする。

子どもたちが独立したのを期に,西国三十三箇所を巡礼することにした。
お遍路道を歩いて強く感じることは,自分の道を守られて歩いているという
ことだ。子どもたちも,これまでの親子三人の良い経験を心の礎にして,自
分の道を歩いていってくれたら嬉しいな。

私はここにいて,自分を見つめつつ,子どもたちがいつでもエネルギー補
給に帰って来れる基地になりたい。親子三人,歩む道は違っても前へ前へ歩
を進めていきたい。子どもたちが元気で幸せに生きていってくれることを祈
りつつ。

(魔法使い)

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○ 編集後記 ○

寝ているすぐそばの網戸にとまったセミに起こされました。

透明な羽のセミでした。

目覚まし時計よりも”大音量”の鳴き声で、起きる予定時間より、1時間
も前に起こされました。

でも、とても気持ちよく起きることができました。

追伸
「ミニまぐ」もスタートしました。タイプの特徴をクイズ形式で学べます。
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★エニアグラム日記の次号は、タイプ3。 9月19日配信予定です★

(本永)
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