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発行元:NPO法人日本エニアグラム学会   2005年9月25日 日常編 vol.45

エ二アグラム《自分探しの旅》
〜〜自己成長とコミュニケーションのための人間学〜〜

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本メールマガジンは、エニアグラムの智慧を日常で活かすヒントになれば
と、日常の視点からエニアグラムを紹介することを目的としています。

いつも読んでいただきありがとうございます。

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■目次■
●エニアグラム日記 タイプ4「タンザニア―エイズと共に生きる人々」●
●         「70点の幸せ」    ●
○編集後記○
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タイプ4の素顔はいろいろある。泣き面もあれば曇り顔もある。張り切る
大人顔もあれば情熱に赤らむ表情を見せるときもある。本人たちは、いずれ
も自分だという。

感情と密着しているときは、それほどいやではない。苦しさも、ギブスを
はずすときのあの妙な愛着ににて、別れ難いといったりする。また、心がと
もなえば、世界のどこまでも人に会いに行く。
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★9月4日(日)★
午後2時40分、タンザニアの首都ダルエスサラームに到着する。東京から
乗り継ぎ時間を含めてちょうど24時間かかった。勤務する大学のスタディツ
アーで、メンバーは学生5人・社会人2人、同行のコーディネーター1人、半
分以上が女性。アフリカ海外研修は大学としても初めてで、安全面でも引率
の私は緊張している。

★9月5日(月)★
ストリートチルドレンを共同生活、社会復帰をさせているNGOを訪ねる。
貧困、AIDSによる両親の死、虐待など家庭内の問題が路上で生活する子
どもたちを生む原因だ。麻薬に手を出す子も多い。

日本で言えば中学生くらいの子どもたちと話していて、「日本と中国はま
だ戦争しているの?」と聞かれる。「戦争は60年前に終わったけれど、まだ
仲がいいとは言えない」と答えたが、もっとましなことが言えなかったか、
ぐずぐず思う。

★9月6日(火)★
エイズ患者の支援をしているこの国最大のNGOの一つを訪問する。タン
ザニアは政府統計で国民の約8%がHIVに感染していると推定されている
が、現地の日本の援助担当者の実感では、本当は2割くらいでは、とのこと。

両親をAIDSで亡くした6人の子どもたちは、ほとんどが祖母に育てら
れていた。おばあさんにとっては、自分の子どもが亡くなり、孫もまたHI
Vに感染しているという二重の悲しみだ。

「子どもたちに質問はありませんか」との問いに、何を聞いたらよいか一
瞬戸惑う。「何をしているときが一番楽しい?」と聞くと、恥ずかしがりな
がら「学校に行って勉強するとき」と。大きくなったらドライバーやドクター
やパイロットになる、という子どもたちの望みに涙がこぼれそうになる。そ
れまで生きてくれと祈る。

約30名のHIV感染者(成人)とのディスカッション、問題の大きさ・重
さと外国語でのプレゼンテーションに疲れてきた。だんだん内にこもってく
る自分に、「あぁ、いま・ここに居ないな」と気づく。私の「クセ」だ。意
識を引き戻して、スピーチに力を込める。自分たちがアフリカの問題を知り
たいこと、サポートできることはないか探していることを伝えると、患者さ
んも頷いてくれる。

学生が「AIDSになってプラスは」という質問を投げる。「それまで自
堕落に生きてきたが、希望や信念を持って生きることをはじめて学んだ」と
の答。ARV(抗レトロウイルス剤:AIDSの発症を遅らせる薬)を投与
されている人は、HIV患者の中では恵まれていると言えるだろう。彼らは
押しなべて明るく、男子学生の披露した空手の型にやんやの喝采を送る。

「日本ではAIDS患者はどう扱われているのだ」との問いに、「日本で
の感染率は0.1パーセント以下です。ただし増加率は先進国で最も高い」と
答えたものの、具体的な体験不足を痛感。そういえば日本ではこんなディス
カッションの場はあるのだろうか。

帰り際、「AIDSって普通の病気なんだぁ」と学生がぽろっともらす。
十分なケアと栄養が与えられ、ARVが投与されれば、確かにHIVはすぐ
に死と結びつく病気ではない。ただし豊かな国では可能でも、年間の国民所
得が300米ドル(約3万3千円)以下のこの国では、それは難しい。

学生が発熱・下痢。親切な日本大使館の医務官に見ていただく。単なる旅
行者性の下痢とのこと。ほっ。

★9月9日(金)★
自分たちが見てきたのは、この国ではそれでも陽のあたった部分だ。貧困
のために病院に来られない患者、ARVを投与されないHIV感染者もたく
さんいるはずだ。「自分たちが見たタンザニアは、全体像のどのくらいだっ
たのか」と同行のコーディネーターに問いかける。この国に30年間関わって
いる彼は、「見れば見るほど、逆に見えない部分があると分かってくるので
す」と答えた。ここが出発点か。

★9月10日(土)・11日(日)★
午後3時45分、ダルエスサラーム発。全員が通関した後、「これで間違い
なく日本まで連れて帰れる」と思ったら、どっと疲れが襲ってくる。海外研
修の引率をするたびに、最後には「2度とやるものか」と思うのだが、性懲
りもなくまたやってしまった(笑)。日本に帰国すると、自民党歴史的大勝
のニュースが流れていた。
(ちゃんぽん)

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★9月17日(土)★
大阪から旧友が上京して、京王プラザホテルで昼食をともにする。右に左
に揺れる数人の会話を「それはええな」と繋ぎ、いつのまにか本人が主役に
なって笑わせる。
「ぼくは会社員をしておるとき、65点から70点をめざしていたよ。あと
10点あげようとすれば、気を遣い、競争もやり続けんといかん。試験、試
験ですからねえ。5点でも挙げようとすれば、上にゴマをするか、多少は悪
いことも考えんとならん。それが判ったとき70点を基準にしたですよ。そ
れでええと。その結果、いやな酒は飲まんでええから楽しかったよ」。

これは謙遜がまざっている。大阪支店長として千人の指揮をとってきた実
績があるが、そうはいわない。「人が話すときは、ときどき太鼓を叩く者が
おらんとな」と、これは上も下も知り尽くした人心掌握術ではないか。
「社長、その話は前に聴きましたとは間違ってもいうたらいかん。そりゃあ
おもしろいですなと、太鼓を叩く。そこからがコミュニケーションの始まり
やな」ああおもしろい。

★9月18日(日)★
会社にいたとき「中学の子どもの運動会なので」と、欠席届けを出す人は
冷笑の対象にした。現在子どもがおかれている社会環境は違う。主催者側に
いて大事な研修だと思っても、子どもの運動会を選択するのをすすめる。子
どもにとって、お父さんが来てくれた日の心の風景はどんなものか。来なか
った寂しさが別の不満とつながらないともかぎらない。そんなことを考える。

いまの子どもは、耐えることを学んでいないし、気持ちを言語化できない
で不満だけをためやすい。大人はやり直しがきくが、中学生には、それがで
きない。父親は、社会の優等生でなくとも、70点でも幸せになれる。中学
生のこころを満たすのは、家族と友達だ。みんなで人間を大切にしあう時代
に入っている、私はそう考えるようになった。
きょう、運動会での様子を聞く。「前の夜に行くよといったら、子どもの目
がほっとしているんですね」。よかったなと思う。

★9月20日(火)★
雑誌編集者の夫を亡くして一人住まいの英子さんと吉祥寺で会う。私はご
主人にたくさんの人を紹介してもらった。その恩恵はほんとに大きい。

「一人でいると沈んでいくものは見たくない。上り坂のものを見たいの。
下り坂のものは私のような境遇では見てはいけない。このごろやっといいも
の見つけたの。一人で居る時、キックボクシングを見るのよ。贔屓がいて、
マサト、むつかしい字を書くけど。この人が大好き。いい顔しているのよ。
苦労して復活して。やられてもまだ意欲を見せる。そこがすごい」
じっと英子さんの顔を見た。やられても、まだ意欲がわくといっている。

★9月21日(水)★
新宿から急行に乗れば近所の診療所が閉まる時間までに着くだろうと急ぐ。
がらんとした待合室に入り、診察券を出す。
「外で楽しいことがあると、ときに興奮して寝つきが悪くなります。翌日、
仕事の日は困りますので」と野原先生にいう。

先生は「そういうことで眠れないなら、心配はないね」といって精神の緊張
がやわらぐ薬を処方してくださる。持っていると安心だ。めったに使わない
ので、お守りといってもいい。ないときに限って、ささいなことを気にして
寝付けない夜がある。
「ささいなことね」「ええ、取るに足らないことでも」「そうかもしれない
ね」相づちをうっていただいただけで心が軽く柔らかくなっている。しあわ
せというのは、こういう感じかもしれない。
(ふつうじん)
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○編集後記○
いつもメルマガを読んでいただきありがとうございます。

先週、プライマリー・コースがありました。10名以上の方にご参加いただ
きました。ありがとうございました。「実際に自分と同じタイプの方と話を
してとっても、共感できるところがあり、楽しかった」、「実際に参加して、
タイプがこんなに違うのかと、本では知りえなかった実感を持てた」 etc.
とご感想をいただきました。またのご参加お待ちしています。

エニアグラムをはじめて学ぶ方にご参加いただける、次回の「プライマリー
・コース」は、10月7-9日に開催します。ぜひ、参加してタイプの違いを実
感してくださいませ。お申し込みの詳細は、WEBまたは、事務局
TEL/FAX 03−5777−1130 月〜金の13:00〜18:00まで

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ています。npo_jea@yahoo.co.jp まで。

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(本永)
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