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発行元:NPO法人日本エニアグラム学会   2008年7月13日 vol.205

エ二アグラム《自分探しの旅》
〜〜自己成長とコミュニケーションのための人間学〜〜

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初めは誰もが這(は)いはいから。どこへ向かうかわかりません。
数え切れないほどの人に愛され、導かれて生きていきます。

生き続けることに疑問を感じる時、学生は「どうせ死ぬ」
と言葉にします。大学を出るとまず矛盾や失望を味わいますが、
そんなとき大学を訪ねる卒業生。かれらに教授は、
松下幸之助から聞いた話などを聞かせます。

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■目次■
●エニアグラム日記 タイプ4 「這い回っています」  ●
●         タイプ4 「短い人生だからこそ」 ●
○編集後記                    ○
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「這い回っています」

★6月8日(日)★
最近7ケ月の娘はハイハイを始めた。今までは自分の行きたいところには
移動できず、泣いて意思表示して他の誰かに連れて行ってもらうしかなかっ
た。

泣いたとしても、母親の私を筆頭に彼女の気持ちをすべて理解出来るはず
もなく、希望をしていない抱っこやおっぱいで済まされたこともあるだろう。

それが一転、時間をかけながらも好きなところへ移動出来るようになった
のだから、さぞかし毎日が生き生きしていると思う。

好きなところへ行けるのだから、母親の私の所にばかりくるのかと思いき
や、私以外にも新聞紙とか長い紐とかはたまた床の埃とかに向かっていく。
「・・・」

声も多様化してきた。オンギャーとかワーンのようにいわゆる赤ちゃんの
泣き声しか出せなかった彼女は、メンメンを繰り返して言っていたり、犬の
ように唸ってみたりもする。

学生時代に剣道を習っていた主人は、試合で相手を打ち込むかけ声「メー
ン」と娘の繰り返すメンメンを重ね合わせて顔を弛ませている。

子どもは大人を惹きつけて遊んでいるのかもしれない。

★6月22日(日)★
今日は年に一度の食事会。お互いの両親に日頃の感謝を込めて食事会をす
る。料理が嫌いなわけではないが、手際が悪く味にもさほど自信のない私と
しては外食なので気持ちが楽だ。

つかまり立ちを始めた暴れん坊の娘を交互にあやしての食事である。去年
はお腹の中だった子が今年は大人を必死にさせる。醤油皿をひっくり返しそ
うになったり、箸を掴みそうになったり。

美味しいお刺身や旬の野菜を絶妙な瞬発力で食べなければいけない。昨今
の原油高で漁業農業は廃業の危機に晒されているという。来年もこのような
会を持てればと願っている。
(さくら)

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「短い人生だからこそ」

★7月2日(水)★
4月に卒業したN君が研究室を訪ねてくれる。

人もうらやむ一流ホテルに就職した彼だが、話を聞いてみると、「お客」
より「儲け」を第一にする会社の姿勢に、ほとほと嫌気が差している様子。
たまたま立地条件に恵まれておりサービスは多少ないがしろにしてもお客は
やってくる。コンプライアンス(法定遵守)は口ばかり。研修で教えられた
CS(顧客満足)なんて誰も気にしていない。常時人手不足でサービス残業
・・・・・・・・・

「すばらしいホテルマンになるんだ」という夢を描いて業界に就職した彼
だけに、失望の度合いも大きい。特に、客を客とも思っていない、上司の姿
には愛想が尽きたようだ。

私も、職場に行くことがとてもつらかった時期がある。それを思い出しな
がら、松下幸之助さんがされていた、刀鍛冶の話をした。

刀鍛冶の世界は、昔も今も徒弟制度の世界。ある師匠は教えるのが非常に
うまい。しかも親切である。だからその師匠の下にはたくさんの弟子がやっ
てくる。たくさんの弟子がやってくるのだが、なぜか師匠を越えるような
「名人」が育たない。「上手」は出るが「名人」は出ない。

もう1人の師匠は何も教えてくれない。非常識で不親切である。たまに弟
子が来ても「こんなところではアカン」とみな辞めてしまう。ところが辞め
ないで残っていた男がいた。非常識な先生の下で修行して、自ら会得したそ
の男が「名人」になった。

理不尽な環境が「名人」を育てる・・・この話を最初に聞いたときは、
「そんなものかな?」と思ったが、今は「本当にそうだな」と思う。自分に
とって人生に役立っていることの大部分は、実は苦しかった時期に得たもの
だ。思うようにならないことや失敗から、人は生涯を左右する教訓を得るの
ではないかな。

そんな話をしたら、彼の目つきがちょっと変わった。「そうか、僕は名人
になれるかもしれませんね」と笑う。学生時代よりも頬がこけて精悍になっ
た感じがする。「しんどいのだろうなぁ」と思いながら、彼が、さらに大き
くなることを祈った。

★7月4日(金)★
学生が「人間はどうせ死ぬのだから、何をやっても無意味だ」と言う。も
ちろん深刻な意味ではない。何気なくポロッと出た言葉だったが、面白いな、
と思った。

「人はどうせ死ぬのだから、何をやっても無意味だ」というのは、「若さ」
ゆえに許される発言だろう。ある程度の年齢になって、自分の死が現実のも
のとして感じられるようになると、人はそのような問いを発しない。間違い
なく来るのだし、そんなもの考えたくもない。

明日殺されるかもしれない戦場でも、「生きていても無意味だ」とは思わ
ない。逆に「何としても生き延びたい」と願うだろう。人は原初的には、意
味があろうがなかろうが「生きたい」とインプットされている。

「人は泣きながら生まれてきて、泣きながら死んでいく」という言葉があ
る。それが真実ならば、人生をふり返ってみたとき、逆に自分は何と恵まれ
て多くのものをいただいてきたか、ということに思い当たる。

いかに多くの人の好意に出会ったか。仲間と笑って過ごしたか。楽しい酒
を飲んだか。魂がしびれるような夕日を何回見たか。すがすがしい朝の空気
を感じたか。考えてみれば、すべて「幸運」だ。

短い人生の中で、出会えた人とはせめても微笑みを交わしひと時を気持ち
よく過ごしたい。自分を嫌う人には、できれば敢えて戦わず一歩引いていよ
う。私はそう思っている。

別に二十歳であろうが、五十歳であろうが、お互い限られた時間だね。ど
うかこの時を大切にしよう。学生にはそう伝えた。
(ちゃんぽん)

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○ 編集後記 ○

会社の近くの道で、給与明細を拾いました。

お金そのものではないのですが、紛失したとわかると気持ち悪いだろうな
と思い、給与明細に書かれていた会社をインターネットで調べて、連絡をし
ました。

無事にとりにきてもらい、お礼にとクッキーをいただきました。

とてもよいことをしたと思う気持ちと、申し訳ないと思う気持ちで少し複
雑ですが、喜んでもらえてよかったです。

★エニアグラム日記の次号は、タイプ5。8月24日配信予定です★

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☆ 最終週は、連載企画を配信 ☆
☆ 相互紹介、随時受付中 ☆
(本永)
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