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発行元:NPO法人日本エニアグラム学会   2007年9月9日 vol.170

エ二アグラム《自分探しの旅》
〜〜自己成長とコミュニケーションのための人間学〜〜

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仕事場で来客と少しこころを開いて話し、後姿を見送っているとき、
大切なものは、さりげないところにあると感じました。しのびよる秋を
コオロギの合唱から聴く豊かさも、どこかダイナミックにつたわってきます。

8月のことは、黙って過ごせません。広島で父を葬ったあの時がよみがえる
からです。きょうバスから紺碧の空や江ノ島の海を見ていて「良い一日」の
始まりが予感できます。生きている喜びです。

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■目次■
●エニアグラム日記 タイプ8 「人間関係の温度」●
●         タイプ8 「太陽の季節」  ●
○編集後記                ○
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「人間関係の温度」

★9月4日(火)★
窓口に、Tシャツを着た50代ぐらいの女の人が来た。
その女の人が、
「ほら、こっちよ」
と手まねきをすると、うしろから、70〜80代くらいの白髪のご婦人が、
ゆっくり歩いてきた。カウンターの向こうのいすに腰かけると、青いワンピー
スが涼しげに揺れて、上品な感じがした。

「ほら、お母さん、書類を出して」
親子なのだろう。白髪のご婦人は、書類を取り出して、ペンも取り出した
が、そのペンを、娘さんのほうに、ぐいっと突き出した。

「もうっ、自分のことなんだから、自分でやりなさいよ」
娘さんは、ペンを受け取ると、白髪の婦人の代わりに、書類を書き始めた。
そして、私のほうに目を向けると、
「いっつもこうやって、人に頼るんですよ」
と、笑って言った。

白髪のご婦人も、恥ずかしそうに、ちいさく笑っている。娘さんに書類を
書いてもらって、このお母さまがとても安心しているように、私には見えた。
しっかりしている娘さんに、甘えているのだろう。だから、思わず、「仲が
よろしいんですね」
と、声をかけた。

すると、それをきっかけに、娘さんは、私にいろいろ話しかけてくれた。
少しだけ、心を開いてくれたのだろう。
お母さまは、だまってそのやりとりを聞いていた。だが、手続きがすむと、
私にとても素敵な笑顔を向け、深くお辞儀をして、帰って行かれた。

二人のうしろ姿に、あたたかい気持ちがした。仲のいい親子の姿は、心温
まるものがある。ほんとうのことや大切なものは、こんなさりげないところ
にあるのだ。

ふと、自分のお母さんに、会いたくなった。

★9月9日(土)★
実家に帰った。

夕飯を食べ終えて、新聞を読んでいると、母が化粧を落としていた。
私は、母のほおに、なにやら、影のようなものを見つけて、
「どうしたの?」
と、たずねた。すると、母は、恥ずかしそうに、
「うん、シミが、できちゃったの」
と答えた。

女性だから、母からしてみれば、ほっぺたにできたシミは、いやにちがい
ない。けれど、あたしは知っていた。このシミが、どうしてできたのかを。

あたしが小さいころから、母は、よく外で働いていた。麦わらぼうしをか
ぶって、小さい体をくるくる動かして、洗濯物を干したり、集金に出かけた
りしていた。うでなんか、日に焼けて、真っ黒だ。

そうやって、苦労して育ててくれたことを、あたしは見てきた。ほほのシ
ミは、たくさん外で働いた、そのあかしだ。

だから、あたしには、母親のほおのシミは、誇らしい。
小さなシミひとつに、母のした苦労が、たくさん詰まっていた。

(ここほれわんわん)
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「太陽の季節」

★8月9日(月)★
今日は朝9時頃家を出た。親しいコンサルティング会社の幹部クラスの研
究会で「イノベーション」の話をするためだ。

バスで秋谷の海岸を走っていると、子供が「海だ!」「海だ!」と何度も
叫ぶ。紺碧の空に白銀の太陽。大山、箱根山、富士山、天城山から石廊崎、
さらに大島までが濃い紺色で一望できる。海は明るく緑がかった処があり、
白い波がゆったりとよせてくる。真夏にこんな美しい展望を見るのは本当に
珍しい。良い一日になりそうだ。

話はまず、最近のグローバルな動向、日本が国レベルで進めている「イノ
ベーション25」と企業の新製品について話し、「イノベーション」のとら
え方について問題を提起した。

ついで、イノベーションを起こす「場」、それを創りだす「イノベーター
の資質と能力・人間性」、さらに、それらの源になる3つの要素:「サイエ
ンス(あたま・分析)」―「アート(こころ・直感・イメージ)」―「ガッ
ツ(本能・体験・決断と実行)」のバランスと統合について、また、これら
に関連して、IQ・EQに加えてGQが重要だという私の持論を話した。

後に、「人をイノベーションへと駆り立てる原動力は集合的無意識にある」
と述べた。

参加した人たちは何れも優れた専門家なので、時を忘れて活発な議論と共
鳴の場が燃えた。部屋を閉める時がきたのでグルメに場を移し、そこでまた
話は白熱した。

今日は、真っ赤に燃えながら論じあって真夏の暑い感動を味わい、良い時
をすごした。

★8月15日(水)★

今年は梅雨が明けるのが少し遅れたが、明けてからは連日猛暑に恵まれて
いる。

8月は私にとって特別な月だ。昭和20年の夏、今年のような猛暑が続き、
8月6日朝、広島で閃光と灼熱の原爆をあびた。多くの人を手当てし、励ま
し、そして最期を看取った。

7日早朝、東の端から惨劇の中心を難渋しながら西に横断して帰宅。父が
重症で発見され、母が迎えに行っていると聞き、再び市中へ。運良く会えた
が、それが最後となった。夜は父を葬る白木の棺を徹夜で作った。

8日、母と二人で父を公園で荼毘に付した。燃え盛る炎のそばで讃美歌
「主よみ許に近づかん」と「清き岸辺にやがてつきて」を歌い、祈りを捧げ
た。

15日には父の遺骨を抱いて故郷の先祖の墓に納骨に行き、やっと着いた
正午、「終戦の詔勅」を聞いた。「生き延びた?!」それから16年を経て
8月16日に長男が生まれた。

8月6日・8時15分と15日・12時の黙祷はわれわれ夫婦の大切な行
事になっている。

今年も終戦記念日を目指してTVの番組が沢山ある。そのなかで1944年
8月5日、オーストラリアで起きた「カウラの大脱走」に改めて強い印象を
持った。その一つは、大脱走の決定を全員1104人が民主的に投票で決めたこ
と(民主主義の限界を感じたが)。もう一つは、インタビュウで話した人達
(もちろん生き残って、80歳以上で元気)が、その時の自分の行動につい
て話す時、懐かしそうに極めて明るく、痛快そうにさえ見えることだ。

私も、戦闘や原爆の体験を話す時には、このような調子に見えるらしい。
何か彼らと共感するものがあるのか、不思議に懐かしい、身近なものを感じ
た。これは、凄惨・悲惨を極め、人間性をすり潰した「硫黄島」とは対照的
だ。

★8月24日(金)★
そろそろ夏もお別れが近づいてきた。今、庭にはハマユウ、白と赤紫のサ
ルスベリ、ピンクの芙蓉、緋色のカンナが咲き誇り、セミが精一杯鳴いてい
る。ニイニイゼミ(低いジイジイ)・アブラゼミ(大きなジイジイ)・ミン
ミンゼミ・クマゼミ(シャアーシャアー)・ツクツクボウシ・ヒグラシ(カ
ナカナ)、朝は空が白み始める5時前から、夕方は日が暮れて光が無くなる
まで休みなしだ。

庭は雑草が夏を謳歌している。彼らと格闘していると耳もとで急にセミが
鳴きだす。5時のチャイムを合図に水やりを始める。汗びっしょりで日が暮
れて、シャワーを浴び、ビールの美味しいこと。まさに太陽の季節だった。
外は満月でコオロギが賑やかだ。 夜はもう秋だ。

(ガッツ)
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○ 編集後記 ○

職場の問題の大半は、コミュニケーションの問題であると聞いたことが
あります。

コミュニケーションって、話すだけではなく、聞くこともとても大切で
すよね。一方的に話すだけなら、コミュニケーションではなく”演説”に
なってしまいますよね。

そんな聞くことの大切さが書かれた書籍ができました。

『できる上司の聞く技術』
日本エニアグラム学会スーパーバイザーでもある和泉育子氏の最新書籍
です。

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最終週には、ワークショップのスケジュールとともに、連載企画を掲載。
(本永)
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