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発行元：NPO法人日本エニアグラム学会　　 2007年6月10日 vol.157

エ二アグラム《自分探しの旅》
〜〜自己成長とコミュニケーションのための人間学〜〜

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係長は「ムーミン」と呼ばれていました。部下はこの上司にムチを
いれて親愛をしめしたつもりでしたが、転勤の日もこたえなかった
ようです。

しーちゃんの「きつい口調」を気にする人がいます。では注意する
のかどうか。親切とは、気づいたことをストレートにいうことなのか、
どうか。自分を知るからこそ、職場で深い洞察のはじまりです。

晴れた日の庭園は草と土のにおいです。雨天は書斎ぐらし。安定の
日々の記録もどうぞ。

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■目次■
●エニアグラム日記　タイプ８「さよならムーミン」 ●
●　　　　　　　　　　　　８「新緑の季節」　　　 ●
○編集後記　　　　　　　　　　　　　　○
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「さよならムーミン」

★６月１日（金）★
職場で、異動があった。

うちの係長は、昇進して、別の部署の課長になった。あたしとしーちゃん
は、係長によくムチを入れていたが、なついてもいたので、この異動の発表に、
「さびしいよぉ（T＿T）」
というメールを、お互いに送りあった。

実際、あたしたちの打ったムチの衝撃波は、気づいたら係長に吸収されて
しまい、打っても打っても効き目がなかった。「ふうん」の一言で、流され
ておしまい。こっちが打ちつかれてしまった。

おそらく係長にしてみれば、牛がゆっくり草を食（は）んでいるときに、
体にまとわりつくうるさい小（こ）バエを、しっぽでバサッバサッとはらう
ようなものだったにちがいない。

係長が牛なら、あたしたちは、うるさい小バエちゃんだったのだ。

こうした感じ方の違いがあって、だからこそ、うちの係はこじれもせず、
うまくまとまっていたんだなぁと、改めて思った。ムチを入れたつもりが、
小バエだったというのは、ショックだけれど。

★６月８日（金）★
今日は、課の歓送迎会だった。

その席で、はじめて係長に、
「ムーミンって呼んでました」
と係員みんなで告白したら、係長は、自分にあだながあったのがうれしかっ
たのか、それとも、もうすでに酔っ払っていたのか、目を細くして、笑って
いた。

二次会では、私は、となりの係の佐藤さんの近くに座った。いろいろな話
をしたが、話題はそのうちに、しーちゃんのことになった。

「しずかさんの窓口応対さぁ、ちょっとダメだよね。口調がきつすぎる。
あれじゃあ、客が引いちゃうよ」
佐藤さんが言った。彼は、日頃、しーちゃんとは仲のいい人である。だか
ら、私は答えた。
「そうですか。それ、よかったら、ぜひ本人に直接注意してやってください」

すると、佐藤さんは、
「えぇっ、そう？　ぼく、直接注意しちゃっていい？」
と言ったが、なんだかもじもじとしている。

「耳に痛いことかもしれないけど、直接言ってもらったら、彼女は、佐藤さ
んに感謝すると思います。そういうことを、きちんと伝えてくれる人って、
ありがたいですよね。佐藤さんが、彼女を大切に思うからこそ、言ってくれ
たんだって、彼女はきっと、分かると思いますよ」

すると、佐藤さんは、私への返事もそこそこに、
「あ、幹事さーん。ぼく、今度は白ワイン飲みたいな」
と言って立ちあがり、この話は、ここで立ち消えてしまった。

さすがに私が鈍くても、わざと会話をそらされたことに、気がついた。
同時に、佐藤さんが、彼女に直接注意する気なんか、さらさらないのだとい
うことにも。

佐藤さんとしーちゃんが、仲良くみえていただけに、ちょっとショックだっ
た。彼女がいないところで、佐藤さんがこんなことを言っているのだと知っ
たら、一本気でまっすぐな彼女が、傷つくような気がした。

佐藤さんは、ただ、だれかに聞いてもらえれば、それでよかったのかもし
れない。あるいは、同じ係の私から、それとなく、言ってほしかったのか。
どちらにしても、私が大切に思うものと、佐藤さんが大切に思うものは
違っていた。

私は、だれの前でも変わることのない、一貫した態度を大切に思った。
だからこそ、本人の目の前で言えないことは、陰でもけっして言いたくはな
かった。
でも、佐藤さんは、それとはまったく違う、別のなにかが大切だったのだ
ろう。だから、直接言うことを避けた。

大切に思うものが違っていることから起こる、すれちがいなのだ。もちろ
ん、一貫した姿勢も、それはそれで美徳かもしれない。だけど、私がもし、
自分の大切なものだけにこだわりすぎたら、あっという間に、佐藤さんを受
容できなくなってしまっただろう。

自分が大切なものを知ってなお、それでもそれを他者（ひと）に押しつけ
ずにいられたなら、人間関係の不協和音は、もっと減っていくのだろうか。

（ここほれわんわん）

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「新緑の季節」

★５月１９日（土）★

新しい季節が来るたびに、その季節が一番美しく、一番好きだと思う。

今もウグイスが直ぐ近く、軒先の藤棚の新緑に埋もれて鳴いている。春は
花の蜜を吸った軽い声、この頃は若葉につく青虫を沢山食べて、つやのある
スタミナに満ちた声に聞こえる。

庭は新緑が一杯だが、雑草も一杯。時間を見つけてはとっているがなかな
か終わらない。草に埋もれて、腰をかがめたり膝をついたり、草と土の匂い
と一体になりながら自然との対話、自分との対話。あるがままの自分を取り
戻してくれる感じがする。

もう梅の小さい実が土に落ちており、枝に残った実は日々大きくなってい
る。そう云えば、昨年大豊作だった夏みかんには花が全くつかず、不作だっ
たハッサクとブンタンには花が咲きこぼれている。

部屋を飾る花の主役もすっかり代わった。
シロクジャクが今年は見事で10以上もツボミをつけ、今も５つの花が開い
ている。ツボミが反り返って、一杯に膨らと音を発てて開く。２日位でしお
たれるが、ここからが成熟期に入るのだ。赤クジャクが後に続いている。

アロエベラの花も見事に咲いた。レモンイェロウの色が鮮やかだ。草に埋
もれた庭の隅で、先駆けて咲いた白アジサイを見つけ、大きな花瓶にいけた。

★５月２１日（月）★

今日は月１度のＴ氏との昼食ダベリ会だ。例によって、話が転々とする中
で、戦後の経済成長の話から「ブータン王国は以前からＧＮＰ（国民総生産）
よりもＧＮＨ（“Ｈ”はhappiness：幸福）の向上を目指すことを国是にして
いる」ことが話題になり、「経済と幸福」について勝手な主張をしながら楽
しい時間を過ごした。これは永遠のテーマーだ。

★５月２５日（金）★

久しぶりの雨。それを予見して、数日前から観音竹などの鉢の植え替えに
精を出していた。雨音の中、霧笛がひびく。今日は一日中書斎で過ごす。

切り抜いた記事や参考資料の整理、気にかかっていた事柄の探索などをマ
イペースでやる。企業にいた多忙な頃から私の大好きな時間だ。安らぎ、充
実感、存在感をしみじみと感じながら幸せな時を楽しんでいる。

私はこのタイプ５のような過ごし方を「親愛なる方向」と名づけている。

（ガッツ）

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○ 編集後記 ○

九州は、もう梅雨に入ったようですね。
関東の入梅はいつなのか気になっています。

さてさて、来週（23−24日）にはじめての方も参加できる
プライマリーコースが開催されます。

本では性格タイプの違いを知っていたが、参加して本当の違いがわかり
面白かったという感想をよくいただきます。

ぜひ、一度ワークショップへ参加されませんか？
お待ちしています。

詳細は、

http://www.enneagram.ne.jp/ws-annai/1-primary.htm

★ 相互紹介、随時受付中 ★

☆ 毎週日曜日配信 ☆
最終週には、ワークショップのスケジュールとともに、連載企画を掲載。
（本永）
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