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発行元:NPO法人日本エニアグラム学会    2004年11月8日 日常編 vol.1

エ二アグラム《自分探しの旅》
〜〜自己成長とコミュニケーションのための人間学〜〜

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本メールマガジンは、エニアグラムの智慧を日常で活かすヒントになればと、
日常の視点からエニアグラムを紹介することを目的としています。皆様のより豊
かな人間関係に満たされた生活を応援させていただきます。

「自分の感じ方と同じ!」、「ほかのタイプへの理解が深まった!」、「自
分を知るヒントになった!」、「自分の内面の動きに目を向けられるようになっ
た!」などなどと好評を得ていた、「エニアな日記」を毎月のメルマガとは別
に発行させていただくこととなりました。

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■目次■

1.「エニアな日記 タイプ1」

2.編集後記

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■1.「エニアな日記 タイプ1」■

タイプ1は、真面目で固い人と言われています。批判的になりがちで、反省
癖もあります。そのような特徴が文章にも見えるでしょうか。

★10月27日(水)★
新潟県中越地震の起きた23日に、土砂崩れで埋まった乗用車の中から2歳の
男児が救い出された。運転していた母親は亡くなっていたというが、男児は後
部座席から這い出した岩の隙間で4日間を生き延びた。

救出作業をしていた10人ほどの中に、一人、自分の上着を脱いで、子どもに
着せ掛ける人がいた。子どもの剥き出しの脚を見て寒かろうと思い、思うと同
時にどうしようかと考える間もなく、自分の上着を脱いで渡したのだろうか。
さっとそういう行動をする、よく気がつく優しい人がいるものだと感心する。

一緒にテレビのニュースを見ていた母が言う。「こんなにていねいに探して
もらえる、この皆川さんという人は有名人なの?それとも、私が埋まったとし
ても探してくれるのかしら?」。

「あなたでも私でも探してくれると思うよ」と答えながら、ハッとする感じ
があった。災害時の救援作業はしてもらえるのが当たり前と考え、今の日本の
能力をごく自然に信頼している私は、平和ボケかもしれない。

関東大震災や戦争を経験してきた母には、名もない庶民の生命がどれほど軽
視され、優先順位が下だったことかと思い出されたのだろうか。

★10月28日(木)★
浜松医科大学の高田教授が人間の脳の活性化について話した中に才能のこと
があった。大リーグのイチロー選手や松井選手のように、大記録を残して活躍
をする人は言うに及ばず、世の中で目立った仕事をしている人は、特別の才能
があるのだろうか、凡人とはどこが違うのだろうと考えていた折でもあり、興
味深く聞いた。

一流の音楽家への調査結果には3つの共通点があったと教授は紹介した。
1.良い先生について最新の練習法を知った
2.午前と午後に休憩時間をとりながら効果的に練習した
3.ひとりでの練習時間が多かった:曲を仕上げるまでに、一流の演奏家
は1万時間。二流は5千時間。

現実は、上の方に行けば行くほど、たくさんの練習、努力をしているという
こと。訓練に使う時間が長ければ脳はよく保たれる。生まれつき素晴らしい人
がいるとしても、脳は使わなければ発達しない。いつもボケたくない努力をし
ている人がボケないでいられる。

指を使うとか、何かをする、あなた自身の決断と努力で、脳は保たれる。正
しく努力する以外に自分の能力を保つ方法はない。というのが教授の結論だっ
た。

そうか、やっぱり「天才は1%の才能と99%の努力から生まれる」という
言葉には真実が含まれていたのかと思った。タイプ1は「努力する」と言われ
るが、一流になるほどの努力を誰もができるわけではない。何に向かってどう
努力するのか、そこが間違っていることもある。成功するまでの努力ができる
こと自体が特殊な才能であって、これは性格タイプを超えたものに違いない。

★10月29日(金)★
新潟県中越地震で助け出された男の子の救出に当った、ハイパーレスキュー
隊の談話が放映された。穴の中にいるのが分かり、上着を脱いで穴に入ったと
いう言葉を耳にして「アレ?」と思った。「救い出された子に自分の上着を脱
いで着せ掛けた」というのは、中継していたレポーターが言った言葉だったの
かと疑問が湧いた。

実際には、穴に入るためにこの人が脱いだ上着を、誰かが投げてよこしたの
かもしれない。画面で見たのは、上着が着せ掛けられているところだけで、誰
かが脱いでいる場面は目にしなかった。本当には何が起こっていたのか確かめ
ないままに、聞こえてくる言葉から勝手に美談を作りだしたのかと、自分の想
像力に苦笑した。

危ない危ない。伝聞だけで美談も悪評も作り出してしまう。本当には何が起
きているのかを、自分で確かめてから意見を言うようにしなければいけないと
思う。と同時に、何かを聞いたとたんに何らかの判断をし、気持ちが動いてい
るのも、生きている証拠なのだから、否定することはない、自分の癖を見直す
きっかけにすればよいと、自分を納得させている。

★10月30日(土)★
山口泉著『宮澤賢治伝説―ガス室の中の「希望」へ』(角川書房新社)を読
み始める。490ページの大著で、まだ初めの部分だけだが、私が疑問に感じてい
たことを解き明かしてくれそうな期待をもった。

「人間から歴史性や社会性を抹消して、作品的成功を達成しつつ、現実の世界
における個個人の苦しみや怒り、ありうるかもしれない闘いのいっさいを無限
の未来にまでわたって踏みにじり、周到に圧殺している」という批判で始まる
序言。

まわりくどい、抽象的な表現も多いのだが、私の感じていた不満の種明かし
が得られそうな予感にわくわくする。読み始めてすぐ、本多勝一記者による大
江健三郎批判の、ねちっこい執念深さに似通っているかしらと、この著者の批
判精神にタイプ1らしさを垣間見る。

作者は宮澤賢治作品が大好きで、子どもの頃から親しんできたと言う。私も、
作品を読んだり、長岡輝子の朗読を楽しんできたファンの一人だが、美しい物
語の中に、やるせなさを感じていた。

一生懸命生きても報われない人の世の不条理を、ただ受け入れよと言われる
のは切ない。そうではない何か、抜け出すヒントのようなものも欲しいと漠然
と願っていたような気がする。

『よだかの星』では、主人公のよだかが、本物の(!?)鷹から改名を迫ら
れ、殺すぞと脅迫されて自死を決意し、高く高く空を目指して飛んで死ぬ。『
猫の事務所』では、かまど猫をいじめ抜く事務所の面々に向かって、外から虎
の声がこんな事務所は解散してしまえと命じるところで終る。

どこか「弱い者は自分の力ではどうすることもできないのだから、運命に甘
んじることが平安への道です」と言われているようで、落ち着かなかった。そ
こを解き明かしてくれそうな期待がある。

文学作品なのだから、現実を美しく切なく見せてくれるだけで完成している
と思うが、問題解決への手がかりも欲しがっている私。

★10月31日(日)★
寝ながら本の続きを読もうかと、のんびり幸せな気分でベッドに入ったとき、
携帯電話が鳴った。

「あなた、今どこ?」という先輩の声。「家にいます」と答えると、「明日の
講演は?」との声。あわてて予定表を見る。確かに予定は入っている。まずい
と思うと同時に、何が起きたのかと頭の中で振り返り作業をはじめる。

1ヶ月ほど前に講演の依頼を言われたのは確かだが、その後、場所も時間も連
絡がない。正式依頼ではなく、ただの打診だったのだろうと解釈し、問い合わ
せもせずに勝手に終わりにしていたのだと思い出す。

すぐに、行動の予定を立てて動く。何とかできる、大丈夫というエネルギー
が湧いてくる。「あす一番で出ます。何時にどこへ行くのか教えてください。」
インターネットで交通を調べ、切符を手配する。妹に連絡して留守中の両親の
世話を依頼する。

行った先の責任者の名前を確認するなど、先輩も大車輪で動いてくださる。
感謝。お手数をかけたが、2時間ほどで出かける準備は終わり、床に就く。寝
過ごしてはいけないからと、珍しく目覚し時計をセットするが、何度も眼がさ
めて、その度に時計を見た。いつもは熟睡し、眼がさめることは滅多にないの
に、よほど興奮していたのか。きっとうまく行くと安心して寝たはずだったが。

それにしても、今回のできごとでは、「一体どうなっているの?」と自分や
周囲に怒りをぶつけることも、誰の責任でこういう事態になったのかと、非難
する相手を探し出して教え諭そうとすることもなかった。

緊急事態では、日頃の癖も出てくる暇はないのか、てきぱきと現実的な処理
ができたことがうれしかった。

★11月1日(月)★
イラクで日本人旅行者が殺された。イスラエルに滞在したことが分かるパス
ポートを持ってイラクに入る無謀、Tシャツと短パンという手足を剥き出しにし
た服装の危険などが報道された。

文化や習慣に無知なままに、好奇心いっぱいに異国を旅する若者が無事でい
られるのは、平和が保たれている時だけと強く思う。

しかし政府の対応の仕方や報道のありかたには疑問を感じる。行くなとあれ
ほど言っているのに、行く方が悪い、と政府も報道機関も思っているらしい。
それはそうかもしれないが、イラクに自衛隊を派遣しているからこそ、日本人
が狙われるということが明らかになっているのに、派遣の是非を問わないのは
おかしくはないか。

テロリストの脅迫には屈しないという言葉は勇ましく、正論でもあろうが、
非戦闘地域での人道支援が本当にできているのか。事態が変化しているときに
それを検討しないのは、頑なと言うよりも怠慢ではないか。

★11月2日(火)★
タイプ7の友人からのメール。

「私、しないことに決めました。自分がやりたいことではないと感じました。
私が私のままで、より磨かれるのなら、安い賃金でもやりたいと思ったのですが

どうもそれは望めない。夢も希望も感じなくなった途端に、心が全くワクワクし
なくなったのです。人ってコロコロ心が変るんだね (これってタイプ7だから

)私は自分のために、コロコロ変る心を大切にしながら選択していこうと思いま
す。でも、これやると、後から後悔するのかな?でも、しょうがないか!」

一年前、新しい仕事に就くときは、あんなにうれしそうにして、「社長のこと
が大好き、この人の助けになりたい」と言っていたのに。アイデアが次々に浮か
び、周囲からも認められ、チャンスを与えられ、良い仕事をしながらも、してい
る途中で迷いが出ると簡単に軌道修正する身の軽さがある。

そのとき、そのときの自分の気持ちを正直に感じ取って、行動を決めているこ
とに感心する。考え始めてからこうと決めるまでの時間が短い。それを頭の回転
の速さと言うのかもしれない。

★11月3日(水)★
人にお礼をするのは難しい。

学習会を企画し、知り合いの人たちに声をかけ、その上、当日のお昼を手作り
して振舞ってくれた人がいた。

なにかお礼をしたいと考えた。品物を買おうかと思ったが、何が好みか全く知
らないから、おかしなものを贈ったら却って迷惑と、自分の経験に照らしてみて

失礼かもしれないけれど、現金にしようと決めた。

食事代の足しにしてと言おうか、それとも、電話代やちらしの作成費もかかっ
たろうから、行動費としてと言おうかなど、気持よく受け取ってもらえそうな言
い方をあれこれ思いわずらった。

金額もいくらくらいが適当なのかと頭を悩ませ、「お世話になってありがとう
ございました。行動費の足しにしてください」と言って封筒に入れた現金を手渡
した。「行動費ですか。それではこの次の会に使わせていただきます」と言って
受け取ってくれたのでほっとした。

ところが、会が終ったところに教会の会計係りという人がやってきて、「献金
いただき、ありがとうございました」と言うではないか。横からご本人が「献金
させていただきました」と笑顔で付け加える。

「それはどうも」と言いながら、なんだか腑に落ちない感じ。一旦渡したら、
相手のお金なのだから、どう使おうと勝手だけれど、献金なんて、なんだかつま
らないなあと、意外な展開を喜べなかった。

しかし実は、意外でも何でもなくて、私の考えが足りなかっただけなのかもし
れないと思い至った。教会を会場に提供してもらったのだから、献金に使うのは
至極当然だったのだろうが、私にそういう常識がなかったということ。十分に考
えたようでいて、肝心のところ、一番当たり前のことが抜けてしまうことがある

間違いのないように、相手に失礼のないように、自分が非難されるようなこと
はするまいと、いかにもタイプ1らしく、気をつけるけれど、細心の注意を払っ
た積りでいて、結局はどうでもいいことにこだわって、全体を見誤ることがある

これもそのひとつか。

★11月3日(水)★
先日のエニアグラムのワークショップでの経験。

タイプ1の人が「世界中にタイプ1は自分ひとりでよい」と発言した。もし
自分よりも完璧にやり遂げる人がいたら、自分が劣っていると感じて逃げ出し
たくなるそうだ。

絵では、真っ直ぐに平らな線を引いて安定感を表現し、斜めの直線には等間
隔の目盛りを刻して、時間をきっちり管理しながら、目標めざしてひたすら上
向きに進むことを表していた。「こんな世界には住みたくもない」と、吐き捨
てるような言い方をする。私から見れば、うらやましいほどに整った美しい世
界なのに。

隣りにいたタイプ3の人が「こういう人が傍にいると便利なんだよね。私に
抜けている細かいところをチェックしてくれるから、仕上がりが良くなる」と
言う。それを受けて、当のタイプ1は「そう。どうしたってナンバーツーでし
かないんですよ」と自嘲的に返事をする。

私は3の人に対しては、「あなたは主役の私を引き立ててくれる重宝な脇役
です」と主張してはばからない失礼な言い方をする人と感じて反発し、返す刀
で、そんなこと言われて平気なのかと、1の人にも食ってかかりたくなってい
た。

○各タイプの詳細は、http://www.enneagram.ne.jp/index.htm ○
●学会のホームページで、自分のタイプもチェックできます●

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■2.編集後記■

いままでは、月に一度のメルマガでしたが、月に何度か配信をさせていただ
きます。今回もお読みいただきありがとうございました。

先日の「まぐまぐ ライフスタイル版」でこのメルマガを知り、今回から読
んでいただいているみなさま、購読ありがとうございます。

これからもよろしくお願いいたします。

ワークショップ参加などのご質問は、info@enneagram.ne.jp
メルマガへのコメントなどは、npo_jea@yahoo.co.jp へお願いします。

(本永)

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