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発行元:NPO法人日本エニアグラム学会   2007年3月11日 vol.145

エ二アグラム《自分探しの旅》
〜〜自己成長とコミュニケーションのための人間学〜〜

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一話。課長も杉田くんも、しーちゃんに愛されています。うたれても、
失敗はやめません。みんなで見守る、ある日のエピソード。

二話。その昔「ウルソ」の合成法を世界で初めて開発した人の日記が
とどきました。ウルソは現在も沢山の患者の肝臓、その他を守って
いる薬です。多くの人が助けられています。この研究開発の誇りを、
生きる実感、エネルギーにして、いま自然観察にも注目して生きる。

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■目次■
●エニアグラム日記 タイプ8 「上司には愛のムチを」 ●
●              「ウルソ合成秘話」 ●
○編集後記                ○
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「上司には愛のムチを」

★3月5日(月)★
うちの課には、新人が二人いる。一人は、同じ担当のしーちゃんで、もう
一人は、ちがう担当の杉田君だ。

うちの担当の仕事の電話が、杉田君のところに入ってしまった。杉田君が
メモをとって、その電話を私に引きついでくれた。
電話が終わって、ふとメモ紙の裏を見た。そのメモ紙は、なんと、うちの
顧客の料金明細書だった。

こういった個人情報は、ふつうはシュレッダーにかけるなどして、メモ紙
には、使わない。
「ちょ、ちょっとちょっと、杉田君?」
と、私があわてて、そのメモ紙の裏をみせると、杉田君もさすがに気づいて、
えへへと頭をかいた。

あとでこの話をしたら、しーちゃんが言った。
「分かった、今度、杉田しばいとくから」
「あ、ごめん・・・ もう、しばいちゃった」
「・・・・・・ふうん、そう」

しーちゃんは、小さな声で返事した。ふたりは同期だが、彼女にとって、
同期の男の子はみんな、彼女の舎弟なのであった。

★3月7日(水)★
杉田君が、今度はしーちゃんのところに、メモをもってきた。その案件を
処理したあと、しーちゃんが叫んだ。

「ちょっと、見てよ、このウラ紙!! あいつ、また個人情報メモ紙にして
るよ!」
しーちゃんが、手元でひらひらさせた紙は、またしても、顧客の料金明細
書だった。

せっかくこのあいだ、教えてやったのに。同じ担当の人たちは、彼が個人
情報をメモ紙に使っていることに、気づかないのだろうか?

私は、左手をおでこにあてて、目をつぶった。そして、ぼそっとつぶやい
た。
「・・・・・・しめてこい!」
「うん、分かったぁ!!」

しーちゃんは、元気よくうなずいて、杉田君のところへとんでいった。

★3月8日(木)★
課長席まで、書類をとりにいった。課長席は、私の席から、かなり離れた
位置にある。
すると、課長が訴えるような口調で、私に言った。
「さっきさぁ、しずかさん(注.しーちゃんのこと)に怒られちゃったよ。
はんこがないって」

自席にもどって、しーちゃんに課長が泣いてたよと伝えると、
「そうなのよ、課長ったら、あたしの書類にはんこ忘れたから、押させたの
よ」
しーちゃんは、口をとがらせて言った。

ところが、ふと見ると、今受けとった私の書類にも、課長のはんこがない。
あわてて課長席までひき返すと、課長は、
「あぁ、気をつけてたんだけど・・・・・・ ごめんね」
と、すっかりうなだれてしまった。

自席に戻ってから、明日ショックで課長がお休みしちゃったらどうしよう
と冗談を言ったら、あんまりいじめちゃだめだよと、ほかの人が返した。

すると、しーちゃんが言った。
「まったく。甘いわよ、課長。たまにちょっとムチいれられたくらいで」
「係長なんか、毎日両どなりから、ムチ打たれてるのにね」
と私が言うと、そうよそうよと、しーちゃんがうなずいた。

係長は、みんなの動きを把握したいと言い始めて、うちの担当のまんなか
に席をかえたのだ。そのため、ちょうど私としーちゃんに、はさまれて座っ
ていた。

そして、つねに右からも、左からも、
「あの案件、どうなりました?」
「私の書類、早くみてください」
とせっつかれては、ムチ打たれている。

係長、最近白髪がふえたけど、気のせいかな・・・・・・?

(ここほれわんわん)

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「ウルソ合成秘話」

★2月21日(水)★
今年は梅の開花が例年よりも2週間も遅れて1月半ば、2月10日頃には
散ってしまった。もう、はっきり実のふくらみが見えはじめた。

庭のツバキ大小30本ぐらいが満開だ。小鳥も沢山やってくる。リスが赤
い花をくわえて飛び回っているのを初めて見た、なかなか洒落たもんだ。

数日前からウグイスの声が聞かれる。例年と違って<ホーケキョ> と未
熟ながら自信に満ちた大きな声で鳴く。「いいぞー」と声をかけると、また
鳴く。「元気でやれ」と声援を送る。顔を見てやりたいものだ。

年の暮れから、生垣や庭木の剪定。カイガラムシの駆除のマシン油散布。
寒肥の埋め込み。そして一日がかりで大焚き火。この年中行事は先週末にし
た。息子たちも参加した。

焼き芋、火照って顔でビールとシャンパンの乾杯。何しろ丁寧にやればと
ても春が来るまでには終わらない。そこは得意の鈍感力と大雑把力で何とか
間に合いそうだ。

今日は天気が良い。その割には変に静かだ、カラスもリスも姿を見せない。
上空を見上げると珍しくトビが8羽旋回している。者どもは警戒しているよ
うだ。

★2月22日(木)★
古い思い出の原稿を書き上げた。50年以上も前の仕事だが、精魂傾けた
ものは明確に覚えている。それは、熊胆(クマの胆汁酸)の合成に成功した物
語だ。

実はこの天然物は《熊の胆》と称して、はるか昔、シルクロードを渡って
唐に伝わり、薬効が評価され貴重なものだった。正倉院には唐から聖武天皇
に献上されたとする物が残されていると聞く。

1927年、日本の学者によって初めて単離・結晶化され、化学的に「ウルソ
・・・」と命名された。この年はいみじくも私の生まれた年だ。その後、分
子構造が決定され、合成の競争が始まった。

戦後、ステロイドが医薬品として注目され、ウルソ合成の競争に再び火が
ついた。私は1954年卒業研究で、幸運にも100%に近い収率の合成法を世
界で初めて開発した。その後、製薬会社で製品化され、今では消化器の薬と
して世界で使われ、適用の拡大も進んでいる。

今年、ある医学系の雑誌が、「ウルソ発売50周年記念誌」を企画した。そ
の始めに「合成と開発の秘話」という章を設けたが執筆者が見つからない。
編集委員長の大先生や担当の方々が手を尽くして探されたらしいが、何分、
時間が経っているので亡くなった人も多い。

思わぬところから連絡が入った。早速大先生や担当の方々にお目にかかっ
た。まず、私という当事者が生きていたのが奇跡だと言わんばかりに何度も
喜ばれた。早速お話しすると、何と当時フィアンセだった家内とのエピソー
ドまで知られており、なんとも愉快な話だった。

この薬は、日本人が化合物として分離し、分子構造を明らかにし、合成法
を開発し、量産化し、用途の開発にも主役を果たしている。まさに日本人の
快挙だ。そして世界の多くの人達に感謝されているという。関係者一同胸を
張っている。

私もその一員として、同志達に敬愛と感謝の気持ちを味わっている。そも
そもこの快挙が、私の《価値観と生き様感》《ガッツ》を実感させ、その後
の人生のエネルギーの源泉になった。 まさに青春の回帰だ。

(ガッツ)

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○ 編集後記 ○

ボトル容器に入ったガム、ボトルガムが人気だと雑誌に載っていました。

発売当初は、中に入っている捨て紙を付箋紙と間違える人もいたそうで、
「付箋紙が入っていた!」とクレームの電話もあったとのことですが、
今ではガムの種類も増えて、すっかり商品として定着したようです。

私も愛用しています。

実は、以前からいったいいくつのガムが入っているのか大変気になって
いました。本日、新しいボトルをちょうど開けたので、今回は噛むごと
に正の字を書いて、数えようと思っています。

★ 相互紹介、随時受付中 ★

☆ 毎週日曜日配信 ☆
最終週には、ワークショップのスケジュールとともに、連載企画を掲載。
(本永)
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