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発行元:NPO法人日本エニアグラム学会   2007年2月4日 vol.140

エ二アグラム《自分探しの旅》
〜〜自己成長とコミュニケーションのための人間学〜〜

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自分らしさを出したい。だから「マニュアルを一字一句違えず読むの
は苦痛」といえば、書いてあるまま読めないかといわれそうです。
普通のことを普通にする、その訓練が、ときに必要かもしれません。

人前でも行動時にも「気持ちに執着しているよ」と気づけば、こだわり
はぬけ「本当のこと」が言える。先生だって、さあ「自習」です。

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■目次■
●エニアグラム日記 タイプ4 「大学センター試験のマニュアル」 ●
●         タイプ4 「おじさんたちからの質問」 ●
○編集後記                 ○
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「大学センター試験のマニュアル」

★1月20日(土)★
今日と明日は、大学入試センター試験の試験監督。受験生にとって自分の
将来を決める大事な試験であることはもちろんだが、私たち教員にとっても
ミスの許されない、神経をすり減らす仕事だ。

北海道から沖縄まで約55万人の受験生に「全く同一の環境・受験条件」で
受けてもらうことが至上命令、そのために事前に読むマニュアルは基本編だ
けで200ページを越える。

試験会場を静粛に保つことは当然だが、監督者は靴音や香水(におい)に
も注意を払うように、とマニュアルにある。今朝も早速、受験生から「エア
コンの風が当たって問題用紙がめくれる」とのクレームあり。エアコンの風
向きを上方向に変えることで対応する。

鉛筆を忘れた学生に貸してはいけない、という決まりもある。大切な試験
にマークシート用の鉛筆を忘れてくる受験生もどうかと思うが、あくまでも
自己調達が原則、貸してあげる会場と貸さない会場があったら不公平、とい
うことだろう。

過去、受験生から「鉛筆を貸してください」と泣くように言われて困った
ことがある。結局、周りの友だちから借りることができて、こちらもほっと
した。「すべての人に平等」とは、誰かに親切にすること=親切にされなかっ
た人の不利益、という考え方なのだろうか。なんかヘンだ。

昔、公務員の人に「礼状の書き方」を指導したことがある。誰あてに書い
ても同じ文章しか出てこないので、「相手の顔を思い浮かべながら、具体的
なエピソードを入れたら?」とアドバイスをした。

ところが「私たちはすべての人に同じように接するようにトレーニングを
受けております」と言われて絶句したことを思い出した。あれはギャクだと
思っていたが、もしかしたら本気だったのかもしれない。

昨年、機器のトラブルが話題になったリスニングの試験も無事終了。ほっ
とする。泊り込みのホテルでテレビをつけたら、「センター試験、リスニン
グ2年連続トラブル。少なくとも350人が再試験」のニュースが流れる。リス
ニング試験を受けた約50万人のうち350人がトラブルに巻き込まれたとのこと。
「受験生からは、聞き取りにくいという声が続々とあがった」というくだり
があったが、50万人中350人は「続々とあがった」と言えるかなぁ。

完璧をめざさなくていいという意味ではもちろんない。が、そもそも大
ニュースになることだろうか。誰しも批判されたくないから、その結果次の
年にはまたマニュアルの注意事項が増えることになる(ちなみに「リスニン
グ事故対応要領」だけで62ページある!)。機器の使用に不慣れな大学の先
生が説明して、極度に緊張している受験生が機器を操作し、0.07%のトラブ
ル率(1万人に7人)というのは、驚異的な低さだと思うが。「全国的潔癖神
経症」みたいだ。

★1月21日(日)★
監督者打合せで、「試験の終了はいつか」という議論になる。試験の開始・
終了はチャイムで知らせるのだが、その長さが20秒間ある。試験の終わりを
チャイムの「鳴り始め」とするか「鳴り終わり」とするかで、20秒の違いが
出てきて他の会場と不公平(笑)、という議論だ。正直なところ「どっちで
もいいじゃん、受験生の得になれば」と思う。「俺は本当に結果オーライだ
なぁ」と苦笑。

本日は主任監督者。約150人の受験生と6人の試験監督者の会場の総責任者
であり進行役だ。主任監督者には、これまた「全く同一の環境・受験条件」
のために、微に入り細に入った142ページのマニュアルがある。その指定部
分を一字一句違えずに読むことが求められるのだが、これが私には大変な苦
痛だ。

内容を変えてはいないが、自分なりの味付けをどうしてもしてしまう。受
験生に「がんばってください」とはさすがに言わないが(=言われなかった
人の不利益になるから?)、挨拶の言葉を入れたり、ただ「答案用紙」とマ
ニュアルに書いてある前に「皆さんの」とはさんだり・・・

昔から、他の人と同じようにやるのが苦手だったことを思い出す。「自分
らしさ」が出せない仕事はつまらないと思ってきた。こだわって自己表現す
ることが肝心、どんなマニュアルがあろうと「自分なり」に読み替えてしまっ
ている。

2日間10科目、正味の試験時間だけで10時間を越える長丁場も終わりに近
づく。休憩が許されていない、立ちっぱなしの主任監督者の私も疲れたが、
受験生の中には試験時間中に寝てしまう人もいる。

最後の時間のチャイムが鳴って、「これで大学センター試験はすべて終了
です」とマニュアルを読んだ後、思わず「本当にお疲れ様でした」と付け加
える。試験監督の先生方が一斉にお辞儀をしたのには笑ってしまった。あれ
は受験生と一緒に、がんばった自分たちへの「ご苦労様」だったかもしれな
い。本当にお疲れ様でした!
(ちゃんぽん)

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「おじさんたちからの質問」

★1月5日(金)★
今日はある先生の家で10名が集うパーティだった。
各自1品持ち寄りのパーティで、わたしは海老マヨを持参した。
先生の友達が朝から多くの料理を作ってくださる。
テーブルには20種類程のおかずが並べられ、お菓子は別の場所においてあ
る。

友達はほかの準備も丁寧だった。玄関には Welcome の文字が飾られ、テー
ブルには今日集うメンバーのニックネームのプレートが置かれていた。
歓迎するという気持ちをこのようにして準備して、形にしてくださったこ
とで私は「歓迎」を実感した。

自分が招待する側だったらどうだろう。きっと歓迎の気持ちが山ほどあっ
てもそれを準備し、形にすることに直結しないと思う。
気持ちに執着して、実際の行動に移るまでに時間がかかってしまうだろう。
そして、備えが整わないまま客人を迎えることになってしまうだろう。客人
を招く時にはこうありたい。

Welcomeしてくれた人に感謝して、楽しいときを過ごした。

★1月7日(日)★
今日は教会のおじ様たちに若者が招待され、一緒にピザを食べる日だった。
おじ様たちはどんな種類のピザを注文するか、またどのように会を運ぶかな
どを12月初旬から考えて下さっていた。

席の中央にピザは10種類ほど用意されており、セルフサービスとなってい
る。隅のほうにお茶、七草粥もあり、至れりつくせりだ。

初めてピザを食べるという年配の方がいる一方、七草粥を初めて食べる高
校生もいる。

世代を超えて集まるといろんなことが新鮮に感じられる。
食事がひと段落すると、「質問の時間」が始まった。
おじ様たちが考えた質問がアトランダムに振り分けられ、その場に集う全
員が答えていくという時間である。

私への質問は「あなたは自己主張しますか。その根拠は何ですか。」であっ
た。エニアグラムのワークショップでありそうなその質問に驚きながら、「
わたしは『本当』に大切だと思うと自己主張します。わたしにとって『本当』
というのが大切なのです」と答えた。ひとりのおじさんが「うん、よくわか
る」と合の手を出してくれた。

おじ様たちの話も大変面白かった。

80歳のおじいさんからは昔、伊勢湾で船が座礁して、積んでいた大量の砂
糖が海に流れ出し伊勢の海老が甘海老なった、というような話を聞いた。

87歳のおじいさんが日露戦争の話をしている時に、私の横にいた小学6年
生は、戦争の時にあのおじいさんは生きていたのかと不思議そうに尋ねてき
た。

世代を超えた交流の楽しさを実感した。

★1月13日(土)★
椎名麟三の『美しい女』という小説が面白いと聞き、読みはじめた。
舞台設定は昭和初期なのだが、夢中になって通勤時、入浴時、就寝前に読
んでいたら数日で読み終えた。

激動の時代にも関わらず、時代と距離をおいているかのように淡々と生き
る主人公にわたしが重なって不思議と共感したのだ。
見ることの決してできない「美しい女」が主人公の人生を根本から支えて
いる、そういう人生はどんなに素敵だろう。読後に静かで穏やかな感動を覚
えた。

尊敬する方から聞いた言葉が思い出された。
「花一輪、心無い人には踏みつけられるが、心ある人には喜ばれる」
今まで私は尊敬する人や本に出会い、大切な言葉たちにも出会ってきた。

それらすべては私が逆境にあるとき、八方ふさがりに感じられるときに私
を励ましてくれるはずだ。

そんなことを考えると、この世界全体が愛おしくなってきた。
(さくら)

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○ 編集後記 ○

先日、献血にいったら記念品として入浴剤をもらいました。

入浴剤は寒い冬には、体が暖まっていいのかなと思いつつ、私はいつも使っ
ていないので、先々回の記念品だった歯磨きの方がよかったと本当は思って
います。

入浴剤の缶に書いてある容量を見ると、21回分もあります。

★ 相互紹介、随時受付中 ★

☆ 毎週日曜日配信 ☆
最終週には、ワークショップのスケジュールとともに、連載企画を掲載。

(本永)
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