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発行元:NPO法人日本エニアグラム学会   2006年12月17日 vol.134

エ二アグラム《自分探しの旅》
〜〜自己成長とコミュニケーションのための人間学〜〜

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小学生のころ、母が言った「出来るのに努力しないのが悔しい」。その
言葉がいまよみがえります。家族で「有り難う」と母を送り、当主を引き
受けました。

甥とはゲームで遊びながら、肉親の温かさを伝えます。
釣り場近くの民宿では客に「状況に応じた楽しみ方がある」と教えられ
ました。釣果は? 準備の楽しさ、友情と出会いです。

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■目次■
●エニアグラム日記 タイプ9 「母さん有り難う」    ●
●         タイプ9 「釣りの遠征」      ●
○編集後記                  ○
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「母さん有り難う」

★11月16日(木)★
今朝母が亡くなった。とうとう逝ってしまった。この夏より入退院を繰り
返して来たが、様態が急変し13日(月)より病院に泊まりこんだ。
下の弟が昨15日夜アメリカから駆けつけ、意識は意思の疎通は全く取れ
ないものの対面を果たすことができた。

母のからだが確実に衰弱していくのがわかる中で、「弟が来るまで何とか
か頑張って」と励まし続けた。一方で命の限りをを振り絞って生き続ける母
の姿に、「もういいよ。お母さんは十分頑張ったよ。ご苦労様」と言いたい
衝動に何度も襲われる。

母は3人の息子、家族の「有り難う」の声に包まれて旅立った。
母はこの最後の壮絶な闘いを身を以て示すことで、兄弟3人に一生懸命に
生きることを教えていったのだと思った。お母さん有り難う。そして本当に
ご苦労様。

★11月18日(月)★
葬儀も無事終了することが出来た。参列いただいた方々、弔電等をいただ
いた方々の温かい心遣いに接し有り難かった。

喪主としていの一番に焼香をするために席を立って歩き始めた時、自分が
当家を代表する立場にもうなってしまっている事実に気がつき驚きを覚えた。

もう動き始めてしまっている。躊躇は許されないのだ。自分がしっかりとし
なければ・・・
母の棺が火の中に入っていく時、突然思いがこみ上げてきて我を忘れて泣
きじゃくってしまった。弟が肩に手を掛けてくれた。有り難う。

★12月9日(土)★
早いもので、母がいなくなってもう1ヶ月近く経ってしまった。朝晩母の
遺影に向かって心の中で語りかける。「お母さん、おはようございます」
「行ってきます」「今日も一日頑張ったよ」・・・母も私に語りかけている
ようだ。「しっかりしなさいよ」

私は父から厳しく躾けられて育った。父が私を叱っている時、母が横から
口を出したことは一度もなかったし、父を批判する言葉もついぞ聞いたこと
はない。そんな母であったが、亡くなってみて存在の大きさに気づかされる。
小学生の頃、不甲斐ない私に母が言った言葉が思い出された。「出来るのに
努力しないのが悔しい」

(のんきや)

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「釣りの遠征」

★12月2日(土)★
久しぶりに小学1年生の甥っ子と会った。車が好きな甥っ子はラジコンの
スポーツカーでテーブルや椅子の脚の間を器用に操作して行ったり来たりし
て飽きずに遊んでいた。

そのうちに車のテレビゲームをしようと言い出した。自分ではセッティン
グできないので父親に頼み、その父親が「おじちゃんとやったら」と言った。
私は「やりかたがわからないのでどうやってやるか教えて」と甥っ子に言う
と「簡単なのからね」といっぱしの口をきく。得意げにあれこれ車の選択や
レースの難易度など解説しながら自分で「まずはこれかな」と器用に画面操
作でゲームをスタートさせた。

甥っ子に教えてもらいながらいくつかのゲームを繰り返し、晩ご飯の買い
出しで父親たちは出かけ、私と甥っ子は二人でゲームを続けることとなった。
やりかたも憶えた私と甥っ子は交互に難易度の高いゲームへと進んでいった。

やり慣れている甥っ子はサーキットコースからコースアウトせずに規定タ
イム以内にゴールを重ねていく。私はコースアウトしたり規定タイムに達せ
ず、失格したりで横で見ている甥っ子は「ブレーキをかけるタイミングが遅
い」など経験者の口ぶりで助言してくれる。

「おじちゃんは本当の車を運転しているの?」と甥っ子。「パパと一緒でお
じちゃんも運転しているけど、これは本当の車とは運転の感じが違うから難
しい」と私。

二人きりでただゲームをしただけの一時であったが、子供は子供なりのプ
ライドがあったり、大人を気づかったり、でもやっぱり子供を感じさせたり
とおもしろかった。そういえば自分も子供の頃に年の離れた従兄弟に遊んで
もらったことは今でも時々思い出すが、甥っ子にとって今日のことは思い出
の一つになってくれただろうか。

★12月10日(日)★
釣仲間と釣に出かけた。普段は近場に日帰りで出かけているが、毎年一回
は泊まりがけで出かけるようにしている私たち恒例の釣の遠征。事前に相談
して釣場を決めて宿泊先の手配は私が行なった。今年は、岐阜県の馬瀬川付
近へ行くことになった。

釣り道具の準備や事前の行き先周辺の観光の情報などを集める作業もわく
わくしてきてインターネットからの情報収集を重ねた。当日は当日で現地に
向かう車の中では近況のやりとりやこれから向かう釣りに関しての話題が続
いた。今日は絶好の釣日和で現地の川に近づいてくると日の光をあびた川面
はきらきらとして今日こそ大物が釣れないだろうかと期待がふくらんだ。

いくつか釣り場も移動し、川沿いに歩き続けたが、1日目は互いに一匹釣
れただけで成果は芳しいものではなかった。明日に期待して宿泊する宿に向
かった。いつも民宿など値が張らず落ち着けるところを選ぶことが多く、今
回も地元の民宿。夕方4時過ぎに到着したが、コンビニもなく山がせまって
くるようなところで日はもう山に隠れていた。

入浴を済ませ、別の部屋で食事が始まった。私たち二人の他に隣のテーブ
ルには一人で宿泊されている脚の不自由そうな方が座っておられた。その傍
らには釣で使うクーラーボックスが置かれていた。食事が始まり、ビールで
乾杯して今日のことを話しつつ、隣の方のクーラーボックスから同じ釣客さ
んとの予想から先輩が声をかけた。

やっぱり釣に来られていてこれをきっかけに互いに釣の話のやりとりが始
まった。話を重ねていく中で「昔から釣を続けていて、でも脚が不自由になっ
てからは足場が悪くなくて釣やすいこの地に通い続けているんです。」と話
してくださる。

「たくさん釣れたときは唐揚げなんかにして皆に配るんですよ。」私たち
がうらやましくなるようなことも話されていたが、二日間で結局私たちの釣
果は人様に配れるようなものにはならなかった。けれど人生は人それぞれに
状況に応じたやり方で楽しむことができるのだということを教えていただい
た。出会いというのはおもしろい。

(ゆったりといこう)

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○ 編集後記 ○

エニアグラム日記の配信は、この号が本年の最終号です。
お陰を持ちまして、今年、38回の配信をすることができました。

読者の方からは、

「自分とそっくりな内容の日記を読んで驚いた」
「地方の山が出てくると小旅行した気分になるわ」
「人の感じ方って、本当に違うのだとわかり面白い」
「これを知って、ぼくは自分がとても楽になりました」
「知らない土地を書いてくると想像できるだけでうれしいの」

などの感想をいただいています。
ありがとうございました。

★ 相互紹介、随時受付中 ★

☆ 毎週日曜日配信 ☆
最終週には、ワークショップのスケジュールとともに、連載企画を掲載。
(本永)

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